「リファービッシュ」という言葉をご存知だろうか?

「磨き直し」を意味し、「リファービッシュ事業」「リファービッシュ品」といった使われ方をする。「リファービッシュ事業」とは、中古工業製品をメーカーが回収し、現在の環境基準などに適合するように調整して市場に送り出す事業を指す。


 欧米では、「リデュース」「リユース」「リサイクル」のいわゆる「3R」に続く「4つめのR」として定着し、マーケットも形成されているが、日本でも、まず自動車の分野で注目され、中古車を排ガス規制に対応させて販売するモデルが知られている。そして、この「リファービッシュ事業」がさまざまな工業製品へと急速に波及しつつあるのだ。

 家電・PCの分野も、例外ではない。パイオニア、富士通、東芝、アップルといった多くのメーカーが、積極的に取り組み、市場に「リファービッシュ品」を続々と送り出している。

 消費者にとっての「リファービッシュ品」の利点は、まず価格。新品との価格差は、諸状況によって異なるが、PCなどの場合、3割程度安いことが多いようだ。


 そして、なんといっても、品質をメーカーが保証してくれているという安心感が魅力。メーカーで再調整されているため、通常の中古商品にありがちな「経年劣化」の心配はなく、新品に時として起こる「初期不良」も当然ない。そう、なかなか優れた商品群なのである。

 たとえば、PCの購入を検討する際、「ありあまる機能をもった最新機種は必要ない」という場合は多いだろう。一時代前の機種を安く買いたいところだが、中古品を失敗なく購入するためには、品質や機能をチェックする眼力が必要。この眼力がないと、「安かったけど、結局は……」という哀しい事態も起こりえる。
安心感を優先して最新商品を買い、商品が有する機能の何分の一くらいしか使っていないという人も少なくないのではないだろうか? そういう人にとって、メーカー保証付きの「リファービッシュ品」の中から前節モデルあたりを買うという手は、賢い選択だと思われる。

 あえて欠点をいえば、基本は「リサイクル商品」のため、外観などに難がある商品も時たま見受けられること。そして、「リサイクル商品」であるため、一気に市場に投入される最新商品とは異なり、販売台数には限りと変動があること。メーカー直販サイトなどをマメにチェックしておくのがコツのようだ。

 多くのメーカーがブランドイメージの向上を狙い、「環境志向」を打ち出している現在、「リファービッシュ品」の裾野はますます拡大していくだろう。「商品の機能については今ひとつ詳しくないけど、買い物は上手」と自負する人にとっても、注目すべきマーケットになりそうである。


(梅村 千恵)

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