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スポーツの秋にぴったりのアンソロジー『走る?』

2017年10月18日 13時53分 (2017年10月27日 17時02分 更新)

『走る? (文春文庫)』東山 彰良,中田 永一,柴崎 友香,王城 夕紀,佐藤 友哉,遠藤 徹,前野 健太,古川 日出男,岩松 了,小林 エリカ,恒川 光太郎,服部 文祥,町田 康,桜井 鈴茂 文藝春秋

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 駅伝の季節到来~~~! 「もしかして、駅伝の話が入っているかも?」と思い、手に取ったのが本書(駅伝ファンを名乗りながら、『あと少し、もう少し』(瀬尾まいこ/新潮文庫)も『タスキメシ』(額賀澪/小学館)も読み逃しているけども)。走ることをテーマに、14の短編が並ぶアンソロジーだ。

 常々アンソロジーというものの素晴らしさについて訴えてきたくらいアンソロジー好きであるけれども、ここまで上質な作品が揃ったものもなかなか珍しいという気がする。結果的に駅伝が題材となっている短編はひとつもなかったのだが、大満足だ。走るのが好きな人苦手な人関心のない人、すべての人におすすめしたい。

 14編すべてについて語りたいところだが、1編が15ページ程度の短編についてあれこれ書いては、実際に読むときの新鮮さが失われるだろうから、ちょっとだけ。個人的に特に好きだったのは、中田永一「パン、買ってこい」と王城夕紀「ホープ・ソング」。中田永一作品には、恋愛小説にほとんど興味のない私でもぐっとくるようなラブストーリーが多いけれど、「パン、買ってこい」は変化球の友情もの(?)でさらに好印象である。主人公は中田作品ではおなじみのタイプ、すなわち地味で目立たない秋永。不良にパンを買ってくるよう強要されても拒めない秋永だったが、どうしたことか彼の闘志に火が付いた(不良とタイマン勝負、といったやり方ではなく)。どんな不運な境遇にあっても、受け止め方次第で何かしら得るものもある。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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