舞台を覆うスクリーン一面に映し出されるのは、人類と外の世界を隔てる巨大な壁。
『進撃の巨人』の物語と、Linked Horizonによる音楽が文字通りにリンクして、壮大にして鮮烈な世界を描き出す今回のツアー。「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」~「紅蓮の弓矢」~「14文字の伝言」と続く序盤は、主人公 エレン・イェーガーの幼少期から兵士として戦いに身を投じるまでの軌跡をアニメ本編の映像とライブパフォーマンスで追体験するかのような構成になっていた。TVアニメ『進撃の巨人』Season1の前期オープニング主題歌として大ヒットした「紅蓮の弓矢」ではアニメのオープニング映像も使用され、印象的な『イェーガー!』のフレーズで会場の全員が声を合わせる。そうした高揚感が得られたかと思えば「14文字の伝言」では自らの命を賭して我が子を守ったエレンの母・カルラの大きな愛が、聴く者の胸にズシリと重いものを残していく。熱さ、激しさ、悲しさ、苦しさ……さまざまな感情を一度に味わえるという意味でも、このライブは『進撃の巨人』という作品が内包する魅力を如実に再現していたといえる。
中盤以降も「紅蓮の座標」「自由の翼」「自由の代償」という歴代のTVアニメ・劇場版の主題歌で会場を熱く盛り上げ、「最期の戦果」「双翼のヒカリ」「彼女は冷たい棺の中で」では物語の中で激しく戦った女性たちの生き様、死に様を歌い上げていく。
アンコールではSound Horizonとして発表した2曲を披露した後、TVアニメ『進撃!巨人中学校』オープニング主題歌「青春は花火のように」で、本編とは打って変わったお祭り騒ぎのようなエンディングを迎える。
『“二ヶ月後の彼"に何を言えば良いのか、僕には未だに分りません…』
そうパンフレットに書いて始めたツアーを終え、さらに、先日発売された別冊少年マガジン最新号を読むに至ってもなお、“彼"=エレンにかける言葉は見つからないということに気づいたと。
『だけど、歌はちゃんと寄り添い続けているんじゃないかと思った。「紅蓮の弓矢」はエレンのテーマだ!』
本ツアーはこの公演で千秋楽を迎えたが、来年1月13日、14日に“Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演"が横浜アリーナで開催されることが決定している。今年で発足から5周年となるLinked Horizonがこのプロジェクトの集大成を描くことになる。
2013年に放たれて、エレンと共に飛び続けてきた嚆矢が進む先はどこなのか? 横浜の地でLinked Horizonがどんな答えを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
Photo by 佐藤祐介
Text by 仲上佳克
『Linked Horizon Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演』
1月13日(土) 横浜アリーナ
開場 17:00 開演 18:00/
1月14日(日) 横浜アリーナ
開場 15:00 開演 16:00
■Vocals
Revo
月香/福永実咲/MANAMI/松本英子/柳麻美
■Narration
サッシャ
■Musicians
西山毅(Gt.)/YUKI(Gt.)/長谷川淳(Ba.)/五十嵐宏治(Key.)※1/14のみ/淳士(Dr.)/弦一徹ストリングス/内藤貴司ホルンセクション/鈴⽊正則ブラスセクション/三沢またろう with MPO (Mataro Percussion Orchestra)/朝川朋之(Harp)/髙桑英世⽊管アンサンブル/Voces Tokyo(合唱指揮:⽊場義則)
■Dancers
佐藤洋介/OBA/松村武司/高杉あかね/細木あゆ/矢島みなみ
■Guest Vocals
[1/13] 小湊美和/Daisy×Daisy (MiKA)/mao
[1/14] Joelle/Ceui/RIKKI