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葬儀代わりの献体に一石を投じるか? 自治体と大学の献体事業連携

2017年9月10日 20時00分 (2017年9月16日 18時58分 更新)

葬儀代わりの献体に一石を投じるか? 自治体と大学の献体事業連携

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以前、「医学発展のために自らの遺体を…と思って献体を希望しても幾つか制約がある」として、献体にはいくつかの制約が課せられていることや、高齢化が進む中で献体募集を停止している地域もあることを紹介した。まずは「教えて!goo」に寄せられた「献体について教えてください」という質問を参考に献体の現況についておさらいしてみよう。

■1年~3年もお骨が還らないことも

まずは、献体として登録したいと思っていても、地域の大学に受け入れなければその希望もかなわない。最近は献体数の増加によって受け入れを停止している大学が多いことは先に述べたとおりである。

「献体する方ご自身と一緒に、希望の医学部の大学に問い合わせるのがよいかと思います。大学側もご遺族の希望に沿った形で、献体できるよう配慮してもらえると思います」(tn.copenさん)

「近年は身寄りも葬儀費用も墓もないという人が、自分の死後の後始末として献体する人が増え、引き取り手のない遺骨を多く抱えて医科大学が困っているという現状があることは知っておいてください」(bagus3さん)

では献体者の葬儀や火葬はどのように行われるのだろうか。

「葬儀に関してですが、ご自身が死亡の後に葬儀を希望されるのであれば提供先に葬儀を執り行う事を伝えておけば葬儀の終了後に通常ならば斎場へ向かうところを保管施設の冷凍冷蔵庫へ向かい時を待ちます、貴方の遺骨がお帰りになるときはキチンと荼毘に提供先が付してご遺骨での帰還になります」(Walkure1500さん)

また実際の葬儀と異なり、死後すぐに葬儀、火葬を行えるわけではない。大学へ献体する以上、大学で献体が利用されない限り遺体は返還されない。これにはおよそ1~3年かかると言われている。亡くなったのに遺体が大学にあって葬儀が滞ったり、間隔があいたりする場合の対処も考える必要がある。

■自治体と大学の「献体」連携とは

献体にこのような問題もあるなか、献体希望者と大学と間に入り、連携を円滑にすることを目指す自治体も出てきている。神奈川県横須賀市の『エンディングプラン・サポート事業』がそれだ。この事業の詳しい内容について、心に残る家族葬というWEBサービスを運営している葬儀アドバイザーに紹介していただいた。

「2016年11月に横須賀市と神奈川歯科大学が『エンディングプラン・サポート事業』の一環として、献体の連携協定を締結しました。献体について自治体と大学が協定を結ぶことはこれが初めてです。横須賀市では、終活についての相談にあらかじめ応じてほしい、といった高齢者の要望から、『エンディングプラン・サポート事業』が開始されました。高齢者から葬儀や納骨、延命治療意思についての相談をあらかじめ受け、終活についての支援プランを立てるというものです。冒頭に述べた神奈川歯科大学との協定もこの『エンディングプラン・サポート事業』の一環です。神奈川歯科大学は、この協定を結ぶことで、身寄りのない高齢者が献体を希望したときに『エンディングプラン・サポート事業』にも同時に登録し、大学と市とで情報を共有できるようにしました。これによって希望者が死亡した際の手続きや情報が入手できるようになり、献体がスムーズに行われることになります」

しかし、このような献体を円滑化する流れに対して、アドバイザーは一定の危機感を持つと指摘する。

「一方で、献体登録者は年々増加しています。その理由のひとつに、献体をすれば火葬代がかからないという考え方があるのではないでしょうか。また高齢者の貧困や孤独死など、人生の終わりに際して頼れるものがない、というケースが増えています。そんな中、献体という選択肢は医学への貢献など前向きな考え方からだけでなく、普通の葬儀を行うよりも金銭的なメリットが大きい、ということから選ばれることが多くあります。しかし大学側の負担は大きく、本来の『善意による医学発展のための無償提供』という献体のポリシーからは少し外れているような気がします」

「医療貢献」の美名のもと、死後の面倒なあれこれから逃れたり費用を安くすまそうとして、献体を利用しようとする面はないだろうか。献体を考える際に問われる論点のひとつと言えよう

専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー

故人の家族と生前に親しかった方だけで行う家族葬こそが、故人との最後の時間を大切に過ごしたいという方に向いていると考え、従来の葬儀とは一線を画した、追加費用のかからない格安な家族葬を全国で執り行っている。

ライター 樹木悠

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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