2012年6月28日に、待望の「カルドセプト」の新作がNintendo3DSで発売されました! そして遊んでみてびっくり! 過去最高の親切設計&バランスではないかと思うのです。シリーズ最高傑作と言ってもいいかもしれません。


まず、何はともあれ「カルドセプトって何?」という方は、公式にある「1からはじめるカルドセプト」を見ましょう。見ましたか? カルド・セプ子さんがくわしく、エロく教えてくれます。がっぽり。

動画なんて見ていられない! もしくは、職場なのでさすがに動画はちょっと……という方のために、カルドセプトシリーズについて説明しましょう。元々は、セガサターンで1997年に発売されたゲームです。開発したのは大宮ソフト。
ジャンルは「カードゲーム+ボードゲーム」という、ちょっと珍しいものです。

基本的にはモノポリーと同じようにゲームが進んでいくと思うといいでしょう。プレイヤーは自分の手番でさいころを振って、出た目だけ進んでいきます。止まったところが誰も所有していない土地だったらその土地を手に入れるアクションを起こすことができ、他のプレイヤーが持っている土地だったら通行料を払います。そうして、目標金額(このゲームでは「魔力」ですが)に達してスタート地点に最初に戻ったプレイヤーが勝ちというゲームです。

モノポリーと違うのは、その土地に関する部分。
プレイヤーはそれぞれ自分が事前に選択した50枚のカードを持っており(これをブックと言います)、その土地にモンスターカードを配置して自分の領地とするのです。お金さえあれば購入できるモノポリーとは違って、たまたま手札にモンスターカードが無かったらいくらお金があっても土地を手に入れることができないのです。

さらに、他のプレイヤーが所有している土地に止まったときも、モノポリーとは異なります。土地を所有するためにはモンスターが必要なので、当然他のプレイヤーのモンスターがその土地にはいるのですが、自分の手札からモンスターを召喚することができるので、勝てば土地を奪い取ることができるのです。

さらに、モンスターを強化するアイテムカードや、自分のさいころの目を操作したり敵を弱体化させたりするスペルカードを使い、戦うのです。

これらのカードはそれぞれ100種類以上ありますが、ブックの中に入れられるのは合計50枚だけ。
しかも、同じ種類のものは4枚までしか入れられません。従って、プレイヤーによってどのカードを選ぶのかは違ってくるのです。10人のプレイヤーがいたら10通りの、文字通り十人十色のブックがあるというわけです。しかも、一度に持てる手札は6枚まで。カードを引く順番もランダムなので、同じブックを使っても全く同じ展開にはならないのです。

このカード要素があるおかげで、非常に奥の深い、面白いゲームになっています。
その一方で、初心者にとって敷居が高いのも事実。だって、何百枚とあるカードの内容を覚えていないと、わけがわからないまま相手の繰り出すカードにやられてしまうかもしれないのです。

さらにこういったボードゲームタイプのゲームには、いわゆる定石というかセオリー的なものがあります。例えばモノポリーだったら「ボードウォークへ進む」チャンスカードがあるから「ボードウォーク」に投資した方がいい、とかですね。もちろん、定石を1つ覚えればいいというわけではなく、たくさんある定石を場の状況に応じて使い分けることが必要なのです。というわけで、とにかく覚えることが多い多い。
これでは初心者が楽しめないのではないでしょうか。

でも安心。今回のカルドセプト3DSでは、そういった初心者のための機能が非常に充実しているんです。例えば、「カードアドバイス機能」。これは、カードを引いたときに効果や特徴をわかりやすく表示してくれます。これが本当に「これこれこういう敵には通用しにくいから注意」みたいに細かく書いているんですよ。


また、敵がカードを引いたときに、こちらがボタンを押さないと咲きに進まない「ドローポーズ機能」とあわせることで、よりカードを確認しやすくなっています。このゲームでは敵の手札も見えているものの、敵も操作をするのでその場でどんなカードかを確認するのは結構慣れが必要です。そこで、この「ドローポーズ機能」をオンにすると、引いたカードを止めてじっくりと確認することができるというわけです。全部のカードを暗記していなくても、その場その場で確認していけばいいということですね。

さらにすごいのは、「アドバイスカーソル機能」です。これをオンにしていると、なんとなく次にこういう行動をとるといいよ、というものが矢印で示されるのです。このアドバイスが非常に絶妙なレベルなのですね。具体的には、強すぎず、弱すぎずというレベルのアドバイスをしてくれるのです。

初心者のうちはアドバイスになるべく従うといいでしょう。結構いろいろなセオリーを覚えることができます。この魔法は手に入れたらすぐに使っちゃう方がいいんだなとか、逆にこの魔法は少し持っておいていざというときに使えばいいんだな、とかですね。また、土地のレベルをただ上げればいいんじゃなくって、こういうときには侵略した方がいい(このゲームでは一度配置したモンスターを動かして相手の領地に攻め込む「侵略」という概念があるのです)とか、とにかくさまざまな定石を学べるのです。

ただ、コンピュータのアドバイスは常にそのときのベストの手ではありません。なので、遊んでいるうちにだんだんとアドバイスに疑問を持つことになるでしょう。そうなったら、自分で試行錯誤をしながらあれこれ試していけばいいのです。これが、初心者脱出へとつながっているのですね。

このゲームは1戦が長いです。コンピュータ戦でも30分以上かかることはしょっちゅうです。なので、負けてしまうととても悔しかったりします。でも、ご安心を。勝っても負けてもカードはもらえるのです。負けだともらえるカードが少なかったりしますが、少ない分は授業料だと思いましょう。負けてもカードを奪われるようなことはありませんので、むしろ負けて覚えるぐらいの気持ちがちょうどいいです。ああ、あのカードにしてやられたなーと思ったら、今度はそのカードを自分で使ってみればいいのですね。

そうやってある程度コンピュータと戦ってカードを手に入れていくと、だんだんと同じカードが複数集まったりします。できればたくさんあるカードを処分して、持っていないカードが欲しいところです。それを助けてくれる「マーケット機能」があります。これはいわばゲーム内でのトレード(交換)をする機能で、こちらの持っているカード3枚を出すと、他のカード2枚に交換してくれるというものです。カードが余ったり、これは自分には合わないな、と思ったカードはばんばんトレードしてしまいましょう。

何度も戦ってルールやセオリーがわかってきたり、カードをたくさん入手してブックが充実してきたらインターネット対戦に挑戦しましょう。インターネットではフレンドや他のプレイヤーとも対戦をすることができます。また、対戦をしなくても、インターネットに接続するだけで1日1回カードがもらえたりするので、ネットワーク環境がある人はとりあえず接続するのもいいでしょう。

ちなみに、本作ではインターネット対戦時に接続できない問題などがちょっと話題になっていたりします。が、どうやらこれはプロバイダの問題のようです。というのも、カルドセプトは他のゲームに比べて圧倒的に接続時間が長いのですね。そうなると、いわゆるP2P対策のために、接続を一時的に切っちゃうプロバイダさんがあるなのです。これは、ネットワークを管理している任天堂側ではどうにもならないことのようなので、うまくつながらないな? と思ったら、まずはプロバイダに問い合わせをしてみるといいでしょう。

それから、2人でがっぽり「新セプター応援カードセット」プレゼントキャンペーンも忘れてはなりません。これは、カルドセプト3DSを買った人が2人で申し込むと、ゲーム中のカードが印刷されたセットが2人とももらえるというもの。もちろん、カードには実際の効果が記載されています。イラストも美しいし、カードを眺めているだけでも、どんなカードがあるか把握するのに役立つというわけです。実際に手に入れましたが、結構しっかりとしたカードで所有欲をくすぐってくれます。54枚とは言わず、全種類作ってくれないかな……

というわけで、今回のカルドセプトは、今まで興味があったけど敷居が高そうだなーと思っていた初心者の人にこそ遊んで欲しいのです。もうすでにどっぷりとカルドセプトにはまっている人は、ほっといてもやりこんでいるでしょうから、改めてオススメはしません。一応シリーズをやっている人向けの情報としては、今までのシリーズからカードを厳選して収録しているため、バランスがかなり良くなっているということでしょうか。

発売してからまだ日が浅いので、インターネット対戦ユーザーも結構多いみたいです。この機会に奥の深い、このゲームをがっぽりと楽しんでみませんか。というか、対戦してください。
(杉村 啓)