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日本の大学で「ゲームを学ぶ」とはどういうことか

2014年4月14日 10時00分 ライター情報:小野憲史

語り口も優しく、学部生や専門学校生でもオススメ。「なぜ人はゲームにハマるのか~開発現場から得た『ゲーム性』の本質」

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日本の大学で「ゲーム」を研究する/教育するって、どういうことでしょうか? 「なぜ人はゲームにハマるのか〜開発現場から得た『ゲーム性』の本質」は、この問いを投げかけています。

著者は立命館大学映像学部の渡辺修司氏と中村彰憲氏で、渡辺氏は『ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国』などを手がけた元ゲームクリエイター。中村氏は中国ゲーム産業研究の第一人者。二人が共同で担当する授業を通して骨子が作られ、このたびの上梓となりました。渡辺氏は准教授で、中村氏は教授。共同研究の成果だといえるでしょう。

内容をざっと紹介すると、これまで曖昧だった「ゲーム性」という概念について、主に記号論の立ち場からメスを入れ、独自の定義を打ち立てています。「ゲームは現実世界と地続きの存在であるが、現実より挑戦意欲をかき立てる構造になっているため、ハマってしまう」・・・この構造のことを「ゲーム性」と呼んでいる、といっていいでしょう。

本書ではこの構造を「ルド」というモデルで可視化し、「パックマン」や「パズル&ドラゴンズ」をルドの連なりで分析するなど、ユニークな考察を進めています。しかしここでは内容や妥当性について、これ以上深掘りしません。というのも、筆者自身が編集協力でかかわっているからです。それよりも、少し俯瞰した視点で本書の位置づけについて紹介してみましょう。

そもそも「ゲーム性」の定義や、ゲームの研究が誰の得になるんでしょうか? 別に本書を読んでゲームが作れるようになる訳でもないのに。ここが本書のポイントです。

大前提として日本のゲーム業界では、専門学校が人材育成に対して一定の成果を上げています。業界的には賛否両論もありますが、専門学校の卒業生がゲームの開発現場で一定の割合を占めていることは事実です。そのミッションはシンプルで、学生を企業に就職させること。言い替えれば「ゲームを作れるようになる」ことがカリキュラムの骨子となっています(余談ながら海外では職業訓練的なコースを内在する大学も多く見られます)。

ところがゲームってトレンドがコロコロ変わるんですよ。典型例がソーシャルゲームで、ガラケー向けの「ポチポチゲーム」と、スマホアプリでは作り方が大きく違います。ポチポチゲームの作り方を学んで(そんな学校はないけど)就職できたとしても、技術の有用性が数年で下がっちゃうんです。その背景には絶え間ない技術革新があります。

だからといって企業は社員を簡単にリストラできない。

ライター情報

小野憲史

主夫ときどきゲームジャーナリスト。趣味でNPO法人IGDA日本代表

URL:Twitter:@kono3478

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