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『謎解きはディナーのあとで』受賞なるか!? 有川浩、森見登美彦は? 大混戦本屋大賞を予想(後編)

2011年2月25日 11時00分 ライター情報:杉江松恋

10冊の順位予想と評価。当たるかな

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さて昨日の続きである。
『叫びと祈り』梓崎優
(内容紹介)
雑誌を発行する会社に勤務している斉木は、取材のため、サハラ砂漠を旅するキャラバンに加わっていた。砂漠から採掘された岩塩を運ぶ「塩の道」を行く人々だ。道を少しでも間違えば、すぐさま死が訪れる。危険な旅路を、彼らは熟知していた。だがある日、襲来した砂嵐がすべてを変えてしまった。キャラバンの長が、天に召されてしまったのだ。墓標代わりにナイフを遺体の胸に突き立て、一行はその場を去った。第2の惨劇は、その夜に起きてしまう。ケルプという男が、ナイフで刺殺されたのだ。間違いなく、殺人犯はキャラバンの中にいる。誰が、なんのために罪を犯しているのか――(「砂漠を走る船の道」)。
(評価)
「砂漠を走る船の道」は第5回ミステリーズ!新人賞の受賞作だ。昨年デビューしたミステリー系の新人の中では高い評価を得ている作者だが、短篇集の出来はそれほどでもない。個々の作品はいずれも水準以上だ。しかし単調なのである。収録作の中で同じような趣向を何度も使われているため、読んでいると胃もたれがする。これが第1短篇集であるという事情を考えると、もっと時間をかけ、アイデアに多様性が出てくるまで、構想を練るべきだったのではないか、と思うのである。したがって、派手さはないが変化球の味がある「白い巨人」を収録作に選んだのは正解だった。この作者の実力は、決して『叫びと祈り』程度のものではないはずだ。今後の伸びを期待し、評価をやや控えめにした。
(予想)
初物というのはなんとなく気になるものだし、そういう観点でこの作品に票を投じる人も少なくないだろう。ただ、2010年に評価をされたといっても、ミステリー界の中のことであり、それ以外のジャンルの読者にはまだアピール不足である。これ1作で広い支持を集めるのはまだ難しいはずだ。今回の上位入賞はないと見る。

『神様のカルテ2』夏川草介
(内容紹介)
栗原一止は長野県の独立系医療機関である本庄病院で働く内科医師だ。持ちかけられた大学病院への移籍話を断り、一止は報われることの少ない地域医療に奉仕し続けていている。そんなある日、本庄病院に進藤辰也が赴任してきた。彼は一止がひそかに慕っていた女性を奪った恋敵であり、同時に大学同期の無二の親友でもあった。だが旧友の凱旋からしばらく経ったころ、一止は辰也の周囲に芳しくない評判が広まっていることを知らされる。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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