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ネジなんかにされてたまるかよ!『ドキュメント 請負労働180日』

2011年3月11日 11時00分 ライター情報:米光一成

『ドキュメント請負労働180日』戸室健作/岩波書店
帯文“雇用崩壊の震源地に飛び込むー請負労働の現場で何が起きているのか!? 過酷な現実に飛び込んで見えてきたものとは?”

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請負労働者の人数を決める部署はどこか?
この質問に、工場案内担当の社員はこう答える。
“「生産部門や人事部門、いろいろだけど、最終的には資材部門と生産部門」”(太字箇所は原文では傍点)
資材かよっ!
ネジっすか!
とツッコミを入れたくなる。

『ドキュメント請負労働180日』
著者は戸室健作。
二〇〇二年から二〇〇五年にかけて、著者は請負労働を行った。
経営学研究科の大学院生。
就業環境の改善を研究しようとしていいた。
そんなとき、アルバイトに誘われた。
それが製造現場での請負労働だった。

そこで彼が目にするのは、
“請負労働者として働く多数の若者の姿”だ。
“彼らがやっている仕事は、朝から晩まで電動ドライバーで携帯電話にビスを打ち込んだり、配線を基盤に差し込んだりするだけの単純作業”。
しかも“給料は昇給しないどころか逆に下落”。

本書の構成は以下の通りだ。

■第1章 請負労働とは何だろうかー間接雇用という働き方・働かせ方
■第2章 どのような条件で働いているのかー請負労働の雇用条件

最初の章で、請負労働のシステム、労働政策の概要を、大きくつかむ。第2章は、請負労働を始めたときの様子から始まり、面接、労働時間、賃金、雇用期間が検証される。


■第3章 請負労働者はどのように働いているのかー請負労働の雇用条件
■第4章 請負労働者はどのように管理されているのか
■第5章 請負労働者の活きる世界ー新しい労働者像

つづく3つの章は、請負労働の現場の様子を描く。作業場のマップ、工程配置、作業風景、指揮命令の実際、労働者の交流など。


請負労働をやった一年後、朝日新聞の一面に記事がでる。
働いていた会社が「偽装出向」と報じられたのだ。
著者が働いていた現場は、雇用契約上では請負労働だったが、実際には偽装出向だったのである!

そもそも、請負労働とは何か?
ちゃんと書くと、むずかしい漢字が多くなるので、ざっくりつかんでぽいぽい書く。
会社が仕事を依頼される。請け負うわけですな。
その依頼された仕事を「自社独自の手法」で完成させる。
それが請負会社。
請負会社には2パターンある。
1つは、発注した会社の敷地外で仕事をする場合。
いわゆる「下請け」だ。
もう1つは、発注した会社の敷地内で仕事をする場合。
建物の清掃とか、学校給食の仕事を請け負う会社とかね。
どちらにせよ、請負会社で労働することが請負労働だ。

請負会社が「自社独自の手法」で仕事ができるかどうかがポイントだろう。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

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