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ナウシカ! テト! 宮崎アニメで、美味しそうに食べているのは誰なのか

2012年5月11日 11時00分 ライター情報:杉村啓

『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』福田里香/太田出版
著者の福田里香さんは、お菓子専門の料理研究家。でもさまざまな料理の出てくる漫画にも造詣が深く、レシピ&評論本の「まんがキッチン」という本も出されています(こちらもオススメ)
ちなみにイラストはオノ・ナツメさん。この本にはオノ・ナツメさんの素敵なイラストが50点以上収録されています。

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漫画でも映画でもアニメでも絵本でもテレビ番組でも、いわゆる食事をするシーンや食べ物を食べるシーンはたくさん登場します。この、作品に登場する食べ物に焦点を当て、研究したのが今回紹介する「ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50」という本なのです。

フード理論とはどういうものなのか。これは、物語に登場している食べ物に注目すると、登場人物の性格や感情、置かれた状況を説明するのがわかるというものなのです。具体的には三原則にまとめられていて

1:善人は、フードをおいしそうに食べる
2:正体不明者は、フードを食べない
3:悪人は、フードを粗末に扱う

というものになります。例えば、どんな作品でもかまいません。食事をしているシーンで料理がひっくりかえされ、無駄になってしまったとします。たいていの場合、ばしゃーんとひっくり返したりしているのは悪人の方ですよね。善人である主人公が自ら料理をひっくり返したり粗末にするシーンというのは、ほとんど思い浮かばないんじゃないでしょうか。

そしてこのフード理論的観点から作品を見るようになると、次のことに気づきます。「数多くの作品でよく似たフード表現が慣用句のように繰り返されている」ということ。そう、優れたフード表現は繰り返し繰り返し使われているうちに、もう○○が登場したら■■になるに違いない! という慣用句表現にまでなっているのです!

例えば、女の子が「遅刻遅刻!」といいながら、食パンを加えて道を走っているとしましょう。もうこれは、絶対に曲がり角で男の子とぶつかりますよね。さらに、その男の子が転校生だったりしますよね。さらにさらに、その男の子が隣の席に座ることになって恋に落ちますよね。そう、これがフードの慣用句表現なのです。これを作者は「ステレオタイプフード」と呼んでいるのです。

この本にはそういった「ああ、あるある」「そうそう、確かにこういうフード表現が出たらこうなったら!」というステレオタイプフードを50種類紹介しています。前述の女の子が食パンを加えて走っていたら(略)もそうですし、タイトルになっている「ゴロツキが食卓を襲っている」もそうです。そう、ゴロツキは一家で食事をしているところに乱入して机をひっくり返したりしますよね。

この本にはステレオタイプフードが登場した具体的な作品名はほとんど出てこなく、それがまた「ああ、あるある!」感を増しているのが素晴らしい点だったりします。

ライター情報

杉村啓

醤油と日本酒と料理漫画とその他諸々をこよなく愛するライター。なんでも超丁寧に解説します。近著に『白熱日本酒教室』(星海社)、『醤油手帖』(河出書房新社)ほか。

URL:醤油手帖

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