今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

就職氷河期は、学生がダメなのか企業が馬鹿なのか

2012年6月22日 11時00分 ライター情報:米光一成

『これが論点! 就職問題』(児美川孝一郎編/日本図書センター)“「就職」の何が問題なのか。『中央公論』『Voice』などの論壇誌から、『週刊東洋経済』『エコノミスト』などの経済誌まで、重要論文・対談を22本収録。”

[拡大写真]

【就職氷河期ってほんと?】
就職氷河期である。就職超氷河期だと言う者もいる。
喝ッ!
ほんとうか、それ、ほんとうにそうなのか!?
てきとーに煽る馬鹿どもが多いご時世、そんな強い言葉に踊らされて、データを見誤り、本質を見過ごし、馬鹿を見るなんて、もうこりごりだ。

というわけで、就職の現状について調べてみた。
いい本があった。
『これが論点! 就職問題』(児美川孝一郎編/日本図書センター)だ。

就職問題の構造を分かりやすくていねいに解説した名著『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?』を書いた児美川孝一郎が、就職問題に関するさまざまなテキストを集め編んだ一冊だ。
総勢22本のテキストを収録し、多角的な視点で「就職」問題を俯瞰できる一冊である。

【終身雇用制が諸悪の根源ってほんと?】
「終身雇用制が諸悪の根源、これやめて雇用をもっと流動させろ、爺さんのクビを切って、若者を雇え! わーわー!」
というよくある言説は、で た ら め!
と主張するのは、海老原嗣生。

そもそも、その流動的な雇用を採用しているアメリカの失業率は、日本よりはるかに高いじゃないか、と述べる。
日本の若者(二十五歳未満)の失業率は九%前後だが、アメリカの若者の失業率は約二〇パーセント。倍以上なのである。
“つまり、アメリカやイギリスと同じように流動的な雇用体制とやらを採れば、若者の雇用が確保されるというロジックは幻想だ”。

【若者の雇用は減ってない】
さらに海老原は驚くべきデータを提示する。
若者の雇用が減ってること自体が事実無根だと言うのだ。
えええー!
減ってるでしょ、リーマン・ショックよりあと不景気で雇用減ってるでしょ、あそこの会社なんか、ぜんぜん若い社員いないよ? って印象があるので、にわかには信じられない。
“文部科学省の「学校基本調査」によると、四年制大学・新規卒業者の正社員就職数は、一九八〇年代後半のバブル時代に二九万四〇〇〇人だった。それが二〇〇八年には約三九万人にまで増えている。リーマン・ショックの影響があった〇九年でも約三八万人。最悪の就職氷河期と言われる今年も約三〇万人の就職が見込まれている。”(二〇一一年に書かれたテキスト)
景気変動を比べて長期トレンドを見れば、新卒採用は増えている、のである。

さらに。
バブル時代と比べれば、二十二歳の人口は、三割弱も減っている。
人口減ってて、新卒採用は増えてるのに、就職氷河期ってどういうこと?

【自己分析ゲームの果てに】
海老原は、ここでもクリアな答えを示す。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!