原画200点以上!
各部の描き下ろし原画!
ジョジョ世界を体感できる立体造形!
ジョジョ×AR!

すべて楽しまなくちゃあならないってのがジョジョファンのつらいところだな……いいやッ! 最高に「ハイ!」ってやつだァァァ!


「荒木飛呂彦 原画展 ジョジョ展」に行ってきた(2012年10月6日から11月4日まで森アーツセンターギャラリーで開催)。

7月28日から8月14日まで、荒木飛呂彦の出身地である仙台市で行われた「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S 市杜王町」は、3万人を動員する大盛況。
そしてとうとう東京展がオープン。

●「そして時は加速する!」ジョジョ25年を一気に体験!
入場してまず目に入るのは、「魔少年ビーティー」「バオー来訪者」「ゴージャス☆アイリン」など、「ジョジョ」以前の荒木飛呂彦作品。
そして、石仮面。
『ジョジョの奇妙な冒険』第1巻、最初に登場するキャラクターは、石仮面を装着した、族長(オサ!)。「ジョジョ」の歴史はここからはじまった。


ジョジョ展と同じく、連載25周年を記念したムック「JOJOmenon(ジョジョメノン)」が10月5日発売。
もちろんジョジョ展でも売ってる。
荒木飛呂彦が、空条承太郎のモデル、クリント・イーストウッドと対談していたり、荒木飛呂彦がニューヨークに行ったりと、趣味爆発なムック。そのなかでも、ひときわ目を引く企画がある。
「ジョジョ句会」だ。
千野帽子堀本裕樹長嶋有米光一成が新宿ロフトプラスワンなどで定期的に開いている公開句会「東京マッハ」。
今回「ジョジョメノン」誌上で、「ジョジョ」ファンの作家、柴崎友香をゲストに「ジョジョ句会」として招かれた。
ルールは「ジョジョ」がテーマになってればなんでもよし。思い思いのジョジョ句を五人がつくって句会を開き、互いの作品を鑑賞しながら競うという趣向。

たとえば、こんな句がある。
「墓石にジッパーがある開けて洗う」千野帽子
「落下するあいだに結ぶ靴の紐」米光一成

「ジョジョ句会」メンバーがジョジョ展で再集結(リーダー千野帽子は仕事で来られず)。「マッハ句会」には何回かおじゃましていて、長嶋さんや堀本さんとも、養豚場のブタでも見るかのように冷たい目……をされないくらいにはお話したことがある。
「ジョジョ展」も一緒にまわることに。

ちなみに、加藤レイズナ特選(一番好きな句)は、「蛙が降るあいだ素数を数えている」(千野帽子)でした。

●「な……生原稿のは……迫力かい? と……鳥肌が立って来たぞ」原画200点以上!
各部ごとに部屋がわけられており、第1部「ファントムブラッド」から、現在「ウルトラジャンプ」で連載中の第8部「ジョジョリオン」までを、一気に追体験。
各部屋には、当時の原画に加え、荒木飛呂彦がジョジョ展のために描き下ろした新作原画が1点ずつ展示されている。
「ジョジョ日本八景」と名付けられた連作原画。たとえば、第5部は「はやぶさとジョルノ一行」。ジョルノたちと東北新幹線はやぶさが描かれている。
原作では、自分たちが所属している組織に抗おうとするジョルノたちについていけず途中離脱してしまったフーゴも、チラっと描かれている。
石仮面や、ブラフォードがジョナサンに託した「Luck&Pluckの剣」(もちろんPは血で書かれている)など、「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S 市杜王町」で特別に制作された「ジョジョ世界の重要アイテム」たちも東京にやってきた。
カーズたち柱の男が究極生命体になるために必要な「エイジャの赤石」もある。
第4部コーナーに展示されている「弓と矢」は、天井に吊るされているため見逃しやすい。注意!

「秋晴の岸辺露伴の居留守かな」をつくった堀本裕樹(俳人)とは、ちょうど第4部コーナーではぐれてしまった。露伴だけに、杉本鈴美のいる死者の魂の通り道に迷い込んでしまったのかもしれない。


●「見えたか? 気づいたか? これが悪霊だ」展示で突き(ラッシュ)の速さ比べ!
第3部コーナーでひときわ目立っているのが、3部主人公、空条承太郎と宿敵DIOの等身大フィギュア。
「で……でっけぇ~~っ」
195センチメートルもある承太郎をはじめてみた広瀬康一はきっとこんな気分だったんだろうな。フィギュアを見上げていると、係員のお姉さんがiPadを渡してきた。
「承太郎とDIOをiPadに写すと、『ARオラオラ体験』ができますよ」。
どういうことだ……? と言われるままかざしてみる……と……。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
iPadで映している承太郎とDIOの背後に、スタンド、スタープラチナとザ・ワールドが出現! 戦いがはじまる。
 AR技術、よくわからないけど、すごい!
第4部コーナーにもAR技術を駆使した「ジョジョの奇妙な杜王町MAP」が設置されている。第4部の舞台になっている杜王町。「東方仗助の家」「イタリア料理店トラサルディー」など、指定されたポイントを映すと、キャラクターたちが施設案内をしてくれる。

柴崎友香(作家)は、物販コーナーでポスターを買いまくり、袋をパンパンにさせていた。柴崎の句は「黒髪くちびるパフェ溶けり彼岸花」。「彼岸花」のなかに、第4部の女性キャラ「山岸由花子」の名前が入っている句だ。

●「漫画家のうちへ遊びに行こう」岸辺露伴と荒木飛呂彦の仕事机!
第4部で初登場した天才漫画家岸辺露伴と、荒木飛呂彦が実際につかっている仕事机を公開!
露伴の代表作「ピンクダークの少年」の生原稿が半分のページだけ見られるように置かれている。広瀬康一と間田敏和はこの生原稿を読んでしまったため、露伴のスタンド、ヘブンズ・ドアーの攻撃を受けることになる。おれも触って読んでみたかったけど……やめておこう。
マグカップにペンをきちんと収納し、シンプルにまとめられている露伴の机とは対照的に、乱雑な荒木飛呂彦の机。『MONSTER』『AKIRA』『水木しげるの世界妖怪辞典』『魅惑のローマ』など、資料として使っているらしき書籍も、そのまま再現されている。

机の下奥に置いてある本のタイトルまで覗き込もうととしている人がいる。
「撃ち抜いたつもりでキスを草の花」という句をつくった米光一成(ゲームデザイナー)だった。やっぱり……。
「どうしてもわからない本があったー」と悔しそうだ。

●「ブラボー! おお……ブラボー!!」ジョジョの奇妙なスタンド体験!
ディ・モールト ディ・モールト(非常に 非常に)良いぞッ! ウキウキ気分でジョジョ展を楽しんでいたら、先に入場していた書評家の豊崎由美さん(ケモノ好きで、東京展限定の「マスコットストラップ イギー」を4つも買っていた)が後ろから声をかけてきた。
「ねえねえ! すごい面白いのがあるよ! 写真取れるんだよ!(片腕を上げながら)スタープラチナ! って」
どうやらKinectを使って、ジョジョ立ち(「ジョジョ」の登場人物が行う決めポーズ)で写真が撮れるブースがあるそうだ。
なにそれ、絶対やりますよ! と撮影。写真はすべてGoogle+にアップされる……はずなのだが、おれや豊崎さんが撮った時間帯だけ、なぜか、ない! ショ……ショックだ……。エジプトにいるDIOのことを念写してしまったのだろうか(アップされたら、ここに写真追加します!)。

「筋肉より骨を信じて晩夏光」をつくった長嶋有(作家)。
いったん列にならんだものの、写真撮影コーナーということに気付き、「俺はいいやー」と戻ってしまった。原画がもっと見たいんだろうな。長嶋さんは、小説家だけど『長嶋有漫画化計画』というぶあつーい本まで自ら編んでしまうほどの漫画好き(じつは、なせか対談させてもらったことがある)。

ほかにも、ジョジョ展会場出てすぐの「マドラウンジ MADO LOUNGE」に、ジョジョ展コラボメニューがある。
トニオさんの「トラサルディーコース」や「ごま蜜団子」の元祖、「ごま擦り団子」も発売している。蜜をグチュウウウウ~~ッ! と吹き飛ばさないように、奥歯で噛もう。
まだまだ、盛りだくさんのジョジョ展、くわしくは公式サイトで。



●「ジョジョ句会」メンバーに、ジョジョ展に対してのコメントをいただきましたァン!

・長嶋有
AR展示もすごいけど、やっぱり原画。「ジャンプ」で読むときは一瞬で終わるんだけど、原画展だからじっくり観られる。美術館のかいがあるなー。原画をカラーで展示してあるのはすごい贅沢なんだけど、欲を出すと、コマ割りされているのも観たかった。「複製原画」(各35000円、全9種)は大金持ちになったら欲しいね。
※追記/正確には、長嶋さんは「金持ちになったら買いたいのは「原画」。複製原画を今買うよりも、金持ちになって原画を買いたいと言った」とのことです。

・堀本裕樹
美術館で改めて荒木先生の絵を見ると、繊細さや色使いが迫ってくる感じがよくわかる。石仮面や「Luck&Pluckの剣」もすごくリアリティがある。奇妙な体験をさせていただきました。

・柴崎友香
歴代ツェペリとか、本編にはない各部のキャラクターが入り混じった組み合わせがよかった。「ジョジョ日本八景」の、「こけしとジョセフ・ジョースター」「はやぶさとジョルノ一行」がお気に入りです。

・米光一成
「ジョジョ」の歴史25年分を一気に観られるので、絵の描き方が変わっていくのがよくわかるのが面白い。第1部「ファントムブラッド」のころは、ザ・少年漫画で好きだったけど、第8部「ジョジョリオン」みたいにオシャレな絵も好き!

このあと、「複製原画」が高いよねーって話に。
「いや、値段だけで言ったら買えるんだよ」「そうそう。買っても、原画にふさわしい部屋がないからさ」」と、大人の貫禄を見せつける米光さんと長嶋さん。

長嶋さんから「4部のピンズ(26000円)を5人で割って分けない? 5人でも5000円くらいかー、まだ高いなー」と相談を持ちかけられたのは忘れることにします。
(加藤レイズナ)