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東京に3万円で家をつくる方法『モバイルハウス』という生き方

2013年9月4日 11時00分 ライター情報:HK(吉岡命・遠藤譲)

『モバイルハウス 三万円で家をつくる』坂口恭平・著/集英社新書
早稲田大学建築学科卒の坂口恭平。文筆家、アーティスト、建築家、そして挙げ句の果てには新政府初代総理大臣。本書は、独立国家建国前から坂口が取り組んでいた移動する家「モバイルハウス」プロジェクトを記録したもの。家とは何か。住まいとは何か。そしてなにより、坂口恭平って何者なんだ!?

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坂口恭平って人がいる。
なんでも、自分で勝手に立ち上げた「新政府」の総理大臣らしい。

『モバイルハウス 三万円で家をつくる』は、坂口恭平が建国した新政府プロジェクトの前日譚であり、「家」に関する思想書でもある。

坂口さんのモバイルハウスという試みは、実に素朴な疑問から始まる。
「なぜ、人間の生活に欠かせないはずの『家』を手に入れることが、こんなにも困難なのか」

家は、多くの人にとって人生で最も高額な買い物だ。ローンを組めば、そのために何十年間も働くことになるし、賃貸でいたとしても住み続ければ何千万の支出になる。
みんなが受け入れている、ごく普通のことだ。でも、坂口さんはそこから疑ってみる。
憲法によって、国民には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が保障されているはずなのに、実際は、家を持てる人と持てない人がいる。さらに家賃が払えない人は路上生活者になってしまう。それは、普通に考えたらおかしいことだ、と坂口さんは思った。

ある日、ホームレスの家を調査していた坂口さんは、隅田川で、鈴木さんという路上生活者に出会う。彼の住む家は総工費0の「0円ハウス」だった。ブルーシートや廃材、曲がった釘など、僕たちが「ゴミ」と見なしているものを使ってつくられた家。

行政に追い出されたら、リアカーに家を載せて生活したい、と鈴木さんは言った。坂口さんは閃いた。地面に固定されていない「家」ならば土地を買う必要はない。不動産ではなく「可動産」。車輪の付いた建物は家ではなく車両扱いだ。しかも、10平方メートル以内の建築物であれば申請する必要がない。

坂口さんは「移動できる家」をつくることにした。多摩川の河川敷。20年ものあいだ自給自足生活をしているおじさんの助けを借りた。その模様は、ドキュメンタリー映画『モバイルハウスのつくりかた』で映像として見ることができる。

板や車輪、釘、金具などの材料はホームセンターで買った。購入金額は2万6千円。端材でデスクができた。折りたたみ式のベッドも手作りだ。ビニールシートや廃棄されていたガラスを使って、窓も2つ作った。
作業日数4日、約24時間であらかた完成。2畳間の「家」。吉祥寺の駐車場を月額2万3千円で借りた。住所とポストがあれば、ピザも郵便物も届くことが分かった。

インフラはどうしたのだろう?
坂口さんは、調査してきた「0円ハウス」の住人たちに倣って、小型のソーラーパネルを1万円で購入。

ライター情報

HK(吉岡命・遠藤譲)

男子2人組の編集者&ライターユニット。ノンフィクション書評、労働・貧困問題、ネット右翼、炎上検証、突撃ルポなど。お仕事のご依頼はツイッターまで。

URL:Twitter:@HKeditorialroom

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