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ニートの中でもエリート“エニート”って何だ?『働かないふたり』

2014年5月29日 09時00分 ライター情報:たまごまご

ほぼ全編、スウェット姿で部屋の中。『働かないふたり』は秀才エリートニートの兄と、対人恐怖症の妹が部屋から全く出ないマンガ。でもなぜかやたら幸せそうなんだが、どういうことだろう? ニート生活つらいとか苦しいとか、一切ないの?

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幸せになりたい。
どうすればいいかなあ。まずお金はほしい。彼女もほしい。いい車もほしい。趣味に使う時間と場所もほしい。ほしいほしい。
でも昔話で、たいていこういうのを全て手に入れた長者は、幸せじゃないんだよな。

吉田覚『働かないふたり』は、そこそこいい年のニート兄妹の話です。
1から4ページのショートショートで、引きこもって二人が一日過ごす。それだけを描いたマンガです。
お金はない。あるのは膨大な時間だけ。
なぜかそんな二人が幸せそうで仕方ないんだよ、このマンガ。
君たち、焦りとか苛立ちとかないの?

何をやっているかというと、二人でゲーム。ひたすらゲーム。そして朝の9時くらいに寝る。昼夜逆転生活。
妹「起きてすぐにゲームなんて、幸せだねー」
兄「ダメ人間、ここに極まれりだなあ」
あれ、イメージしていたニートの悩み苦しみ重み、ありません。

作品の「ニート観」が、ちょっと変わっています。

まず、ニートには二種類あるという認識。
兄は秀才で万能。友達も多く家に遊びに来ます。車の免許も持っています。普通に外に出かけられます。妹いわく「ニートの中でもエリート、エニート」だそうです。
一方妹は重度の対人恐怖症。家族以外と話すことができない。頭はそんなにおよろしくない。外見はかわいく胸も大きいけれども、女子力はマイナス級。そもそも家から外に出られない。
前者(エニート)は自主的にニート活動に励んでいます。
しかし後者は、引きこもりにならざるを得ない。

次に、ニートマンガというジャンル(今ぼくが考えた)においては極めて珍しく、家族描写が多い
ニート引きこもりキャラは、ルサンチマンの塊みたいになっていることがテンプレートの一つになっているので、両親は叱りつけてくる(でもいないと困る)的なポジションに置かれがちです。
ところがこのマンガの兄妹と両親、めちゃくちゃ仲がいい。母は厳しく叱りつつも娘のために数万するコートを買ってやり、だらける兄に文句を言いつつも見守っています。
父親はあまり「働け」とは言いません。妹が「家の中で合宿ー」などおかしなことを言い出しても、優しい声をかけます。
なんだろう? 二人の子供が家から全く出ないというのは問題のはずなのに、全然嫌な気持ちにならない。

そして、ネット環境がこのマンガにない。
ネットがあると無限に思える時間は一瞬で消滅します。おそらくこの兄妹も会話が激減したはず。
ところがネット環境がないため、二人の行動は「読書をする」「テレビ・DVDを見る」「ゲームをする」の3択になります。
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ライター情報

たまごまご

フリーライター。「ねとらぼ」「このマンガがすごい!WEB」などで執筆中。ひたすらに、様々な女の子の出てくるマンガを収集し続けています。

URL:たまごまごごはん

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