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もう誰にも止められない。女の子にしか見えない「男の娘」の実情に迫る『「男の娘」たち』

2014年10月20日 10時00分 ライター情報:青柳美帆子

川本直『「男の娘」たち』は、「男の娘」をテーマにしたノンフィクション。男の娘たちを3年間取材し、彼(女)たちと男の娘文化の「今」を描いた。

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〈「男の娘」の時代がやってきた〉

「男の娘」という言葉がある。「おとこのこ」と読む。
比較的新しい言葉なので、定義ははっきりとしていない。「どう見ても女の子にしか見えない男の子」「女装などしなくても女性に見える男の子」「薬や手術などなしの、単なる女装している容姿端麗な男の子」……「二次元限定。三次元にはいない」という意見もある。
川本直『「男の娘」たち』は、何人もの三次元の男の娘に取材した「男の娘ノンフィクション」だ。
川本は男の娘の定義を〈生まれた時の生物学的性別が男性だった「トランスジェンダー」のことである〉とする。「トランスジェンダー」とは、ジェンダーアイデンティティが生物学的性別や与えられたジェンダーと一致しなかったり不安定だったりする状態を、ジェンダー表現を変更することで解消しようとする人のこと。性別違和をもち性別適合手術を受けた人も、女装をする人も、トランスジェンダーに含まれる。

『「男の娘」たち』は、日本最大級の女装イベント「プロパガンダ」を主軸にして男の娘たちを追いかけている。プロパガンダは立ち上げたモカによると〈女装さんが好きな人だったら誰でも来てほしい。女装が好きな男性でも、女装した女性が好きな女性でも、ゲイでもレズビアンでもFtMでもきてほしい(※FtMはFemale to Maleの略称で、男性ホルモン投与や性別適合手術で女性から男性へ性別を越境した人)〉イベントだ。
川本が追いかけた彼(女)たちはみな女装をするが、その頻度やスタンス、性指向はさまざまだ。

たとえば先述のプロパガンダを立ち上げたモカ。モカは十代のころから女性ホルモンを個人輸入して使用していた。恋愛対象は男性と女性の両方。外見は完全に女性に見えるし、普段から女性の格好をしている。
〈悩みは、外見が女の子になれるかどうかだけだね。こだわらないようにしているの。その時その時によって言い方を変える。「あなたは女性なんですか?」と訊かれたら、「はい、女性です」と答えるけど、本当に心の中で女性と決めつけているわけじゃなくて、都合良くその状況、その状況で答えるし、「これはこうだ」というふうに決めたところで何にもならないから、自分は好きなものだけチョイスしているというスタンスを選んでいるかな〉
モカはすでに性別については考えていない。「自分は自分」なのだ。

「男の娘AV女優」という肩書で活動している男の娘もいる。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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