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ドリカムの歌詩は『万葉集』である、吉田美和歌詩集『LOVE』『LIFE』

2014年11月11日 10時50分 ライター情報:藤井勉

吉田美和歌詩集『LOVE』『LIFE』/新潮社(写真は『LOVE』)
本書の刊行を記念した「あなたのお気に入りの歌詩を投稿しよう!!」という企画が12月末まで行われている。送られてきたメールは、ドリームズ・カム・トゥルー公式サイトのFacebookページで紹介されている。
http://dreamscometrue.com/news/2014/10/22/7569

[拡大写真]

これは詠み人知らずになっても、節がなくなっても現代まで詠み継がれている『万葉集』に匹敵する可能性を秘めていると思ったんです。

今年でデビュー25周年を迎えた、ドリームズ・カム・トゥルー。8月にはアルバム『ATTACK25』が発売され、オリコン週間アルバムチャートで1位を獲得している。
そんな今なお人気・実力ともにトップを走るグループのボーカリスト、吉田美和の書いてきた「歌詩」をまとめた歌詩集『LOVE』『LIFE』が2冊同時刊行された。

元々はツアー会場で限定版として、セットで販売されていた本書。監修はメンバーの中村正人。構成・編集を書評家でライターの「トヨザキ社長」こと豊崎由美が担当している…ってなんで?石原慎太郎からも、小説世界のダメ男からも遠く離れた存在のドリカムとトヨザキ社長が、どうして結びついたのか?
巻末には、監修者・構成者ふたりによる特別対談が2冊ともに収録されている。そこで、意外な組み合わせの経緯も明かされている。

中村:そもそもは吉田が社長の大ファンで、ファンクラブ会報誌で前のアルバム『LOVE CENTRAL』の歌詩評に始まり、読書座談会、それから書評連載をお願いするようになりました。そうした、文字や言葉や小説で吉田とつながった社長に、どうしても中心になってもらいたかった。(『LOVE』特別対談「未来に手渡す現代の『万葉集』」より)

本の中身をみていくと、曲が発表された年や収録作・売上枚数といった情報もなければ、吉田美和本人による解説などもない。歌詩を過去の名曲として懐かしむのではなく、あくまで「今、ここ」にある詩として読んで欲しい。そんな意図が感じられる、「出典知らず」の構成なのだ。

『LOVE』は、恋愛にまつわる歌詩が発表された年代もバラバラに並べられている。とはいえ、ある曲が別の曲の返歌と読めたり、続編と読めたりと、読み手の解釈で一つ一つの曲をつなげていくこともできる。
その中で語り手は〈あなた〉に対して、顔や声や仕草すべてを〈すき〉と全肯定し〈こんなすきで どうしよう〉(「DARLIN’」)と思うほど一途だったり、〈抱き合って 雲突き破って 今夜の月まで飛んでいこう〉(「しあわせなからだ」)とぶっ飛んだ提案をしたり、〈NUDEの夜が更けたら あなたを襲いに行く〉(「NUDEの夜」)なんて肉食系だったりと、好きを表現する方法がとにかく多彩でユニーク。

『LIFE』の方は、ほぼ年代順に並べられている。

ライター情報

藤井勉

文芸・ノンフィクション・音楽本を中心に、新刊と変り種を紹介する隙間産業です。共著に『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)。

URL:Twitter:@kawaibuchou

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