今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

印刷事故発生、他のサークルの本と中身が入れ違ってのこの機転。第20回文学フリマで見つけた噂のすごい本

2015年5月17日 08時00分 ライター情報:近藤正高
なかには打ち捨てられた遊具の写真もあったりと、日本から消えつつある屋上遊園地の貴重な記録ともいえる。

文学フリマで販売されているなかには木藤さんの本にかぎらず、あるテーマのもと各地をまわりながら見つけた事物をとりあげた本も多い。次の3冊もこの系統に入る。

『建築趣味』No.3(建築趣味)
建築研究者の磯達雄さんの個人誌。最新号では「建築スーベニア」と題して、日本各地の有名建築にちなんだ土産物やノベルティグッズを紹介している。表紙の写真は東京ビッグサイトをキャラ化したぜんまいオモチャだ。このように一目で建物をモチーフにしているとわかるグッズがあるかと思えば、石川県の七尾美術館で売られていた角皿のように、想像をめぐらせることで建物と関連づけられるものがあったりと、この世界の奥深さを感じさせる。

『芸事のありか』(CADISC
花園神社の見世物小屋からミュージカル「テニスの王子様」、さらには沖縄でのスキューバダイビング体験まで、著者の村上巨樹さんがバンド活動をしながら各地をまわるなかで接してきたさまざまな“芸事”についてつづったもの。その切り口が何だか小沢昭一の放浪芸のフィールドワークに似てるなと思ったら、巻頭でちゃんと言及されていた。

『相模古社考察―相模延喜式内社一三座―』(AL-KAMAR
神奈川県内にある13の延喜式内社をレポートした労作。そもそも延喜式内社とは何かという話に始まり、現地を訪れながら各社の歴史を紹介している。同時に、神話と現代のゲームとの共通点を考察したり、神主が霊能者だという話を聞きつけ実際にその神社へ占いしてもらいに出かけたりと、そのアプローチのしかたがユニークだ。

ところで、今回の文学フリマでは、エキレビ!でもおなじみの小沢高広さんやtk_zombieさんも参加するbnkrと、東京学芸大学の現代文化研究会と、2つのサークルがとんでもないアクシデントに遭遇した。何と、それぞれのサークルの人たちが業者から当日朝に会場へ届けられた新刊を確認したところ、お互いの本の表紙と中身がそっくり入れ違っていたのだ。結局、新刊は双方のブースにて2冊セットで販売することになり、かなり早い段階で完売したらしい。このようなミスはめったにあるものではないとはいえ、開催当日のトラブルに対する機転の利かせ方は、ほかの同人イベント出店者にもおおいに学ぶところがあると思う。
文学フリマでのエキレビライターの収獲・その3。『BNKRr』Vol.9(左)と『F』15号

bnkrの新刊『bnkrR(ボンクララ)』vol.9では、分冊百科の代名詞「デアゴスティーニ」をテーマに各人が作品を寄せている。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!