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新日本プロレスはなぜ人気を取り戻すことができたのか

2015年8月3日 10時50分 ライター情報:大山くまお
今またプロレスが盛り返してきている。
2000年代はPRIDEやK-1などの格闘技勢に押されて瀕死の状態だったが、ここ数年じわりじわりと人気を伸ばしてきた。
その中心にいるのは、業界の盟主・新日本プロレスだ。英雄・アントニオ猪木が立ち上げ、長州力、タイガーマスク、前田日明、橋本真也など、無数の名選手を輩出してきたメジャー中のメジャー。一時期、経営不振に陥っていたが、現在は完全に立ち直った。
今のプロレスブームは、新日本プロレスブームとそのまま言い換えることができる。
『Number』7月16日発売882号

文藝春秋が発行するスポーツグラフィック誌『Number』が、7月16日発売の882号で実に14年ぶりにプロレスの特集を組んだ。これぞまさしく、プロレスが盛り上がっていることの証明だろう。
厳密には新日本プロレスの特集である。タイトルは「新日本プロレス、ナンバーワン宣言。」で、他団体についての記事はゼロ。これもまた現在のプロレス界を端的に表している。

『仮面ライダー』になぞらえる


ではなぜ、新日本プロレスが人気を取り戻すことができたのか?
それは『Number』の特集の構成を見れば一目でわかる。

特集のメインは、新日本プロレスで戦う選手たちのインタビュー。
それも『Number』が主催した「新日本プロレス総選挙」で7位以内に入った選手のみだ(1位の選手は表紙もゲットできる)。

1位、棚橋弘至。現在の新日本プロレスのエースであり、「新日本プロレス再生までの長い物語の主役」でもある。
かつては観客の支持をまったく得られなかった選手だった。強さを感じさせない棚橋のプロレスが、それまでプロレスを支えていた男性ファンたちに受け入れられなかったのだ。そこで棚橋は頭を切り替える。プロレス界の低迷期において、かつて強さを誇った先輩たちの真似をしても仕方がない。ならばと新日本プロレスの代名詞だったストロングスタイルを切り捨て、「キャッチーでポップな、会場の誰もが盛り上がれるようなわかりやすいプロレス」を展開した。もちろん、会場はブーイングの嵐。しかし、自分にブーイングが来ているということは、対戦相手に光が当たるということでもある。そこでもっともっとブーイングが集まるように自己陶酔型のナルシストキャラになった。
同時に、なぜ自分はこの試合をするのか、この相手に勝ちたいのか、試合のシチュエーションを初めて見る観客でもわかるようにイントロデュースするようにした。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

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