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エアコレクターはなぜブックオフ全店踏破を目指すのか『無限の本棚』

2016年4月21日 09時50分 ライター情報:近藤正高
アルコール好き、というか、アルコール中毒になった人は、最終的には純粋なアルコール(スピリタスなど)を求めるようになるという。ようするに酒の風味すらよけいなものに感じられるようになってしまうのだ。
とみさわ昭仁『無限の本棚 手放す時代の蒐集論』アスペクト

とみさわ昭仁(当エキレビ!の執筆者のひとりでもある)の新刊『無限の本棚 手放す時代の蒐集論』(アスペクト)によれば、同様の傾向は、コレクターにもいえるらしい。そこで著者が引き合いに出すのは、かつて自分が考えたという「白いトレーディングカード」なるものだ(もちろんそんなものは現実には存在しない)。

このカードには表も裏も何も書かれておらず、ただ「通し番号」だけが記載されている。番号は1~1000番まであり、それがシャッフルされて日本全国に散らばっている。著者は、そんな「白いトレーディングカード」があれば、きっと自分は集めるだろうと書く。

これは、『無限の本棚』の核となるコレクション論のくだりで登場する話だ。著者はあるとき、自分を少年時代からコレクションへと駆り立ててきたものの正体が、「物欲」というよりは「整理欲」であることに気づいたという。レコードを集めるにしても、とくに聴きたいわけでもないのに、管理番号順に集めてしまう。それも整理欲に突き動かされてのものであり、突き詰めていけば最終的に、純粋に蒐集の快楽だけを求める次元へとたどり着くだろう。「白いトレーディングカード」の話はそのたとえというわけだ。

物欲のなくなったコレクターが見つけた道


『無限の本棚』を読んでいると、自分と似ているなと思うところもたびたびあった。たとえば「飽きっぽい」ということ。もっとも、著者のとみさわは飽きっぽいと言いながらも、飽きるまでにとことん極めるところが、自分とは決定的に違う。

たとえば、「戦車の絵が描かれたジッポー」という明確なテーマをもって集め、その後収集テーマの守備範囲を広げていった結果、総数は300個を超えた。
野球カードコレクションでは、MLBのカル・リプケン・ジュニアのカードを2400枚以上集め、まで出している。このほか、観光地にある顔出し看板の写真を撮ってまわったり(あげく、自分の結婚式で、新郎新婦をかたどった手製の顔出し看板を用意するほどの凝りよう)、各地のダムで配布されているダムカードを集めてまわったりと、始めた時点ではほぼ誰も集めていなかったものにも手を染めた。

しかし、いずれのコレクションもかなりのレベルまで極めながら、あっさりとやめている。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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