今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

大人の打算で誕生した「UWF」は、選手とファンの“青春”になった「『週刊ファイト』とUWF」

2016年6月21日 10時00分 ライター情報:寺西ジャジューカ
自慢じゃないが、今まで三度ほど前田日明をインタビューしたことがある。著名人・芸能人をインタビューする際はより念入りに下調べをして取材に臨むが、同じ人物への接触が二度三度と重なると無意識に“慣れ”というものが出てくる。だが、前田に関してはいつも怖い。怒られたことがあるわけじゃなし、それどころか下ネタを交えてかなり真摯に返してくれる人である。でも、怖い。
前田日明の道筋を知っていればこの感情は当然なはずだし、前田を前にして縮み上がらないマスコミがいたとしたら鈍感すぎて逆にヤバい気がする。
「『週刊ファイト』とUWF」波々伯部哲也/双葉社
UWFに関わる選手、そしてマスコミに籍を置く著者らの若き日が克明に記された一冊。猪木と対峙するUWF勢を「青年将校」と喩えた人がいたが、言い得て妙だ。

「後から猪木さんも行く」と言われ、先発隊として旧Uのエースとなった前田日明


前田日明が前田日明らしくなったのは、ユニバーサルプロレス(旧UWF)旗揚げ以降だと言われている。

ユニバーサル旗揚げの経緯は、プロレスファンならば誰もが知っているだろう。『新日本プロレス 「電撃退団事件史」』(双葉社)のインタビューにて、前田は以下のように語っている。

──当時、前田さんはユニバーサルの構想をどんなふうに聞かされていたんですか?
前田 当時の構想としては、一時期のK-1みたいに民放2局放送を目指すと。テレ朝とフジテレビだよね。で、新間さんからは「おまえはフジのほうの先発隊だ。のちに猪木さんも含めたいろんな選手がフジのほうに出るようになる」と。
──要するに新日本プロレスの所属レスラーの試合を、テレ朝とフジの両方で中継してしまおうってことですよね。それによりテレ朝だけでなくフジからも放映権料が入ると。
前田 そうそう。

蓋を開けたら、旧UWFの旗揚げ戦に猪木が来なかったのはご存知の通りである。

「バッタリ道で猪木さんと会ったら、殺す」


旧UWFのエースとして“出向”させられた前田だが、当時の年齢は若干25歳。大宮スケートセンターにおける旗揚げ戦では、ポスターに顔写真が刷られたスター選手を求める観客たちから“猪木コール”“長州コール”が起こり、その中で憮然とした表情でメインイベンターを務める前田の姿があった。

この頃の前田、そしてUWF勢の抱える忸怩たる思いは、元週刊ファイト副編集長・波々伯部哲也氏による著書「『週刊ファイト』とUWF」に克明に記されている。

「プロレス好きの友人と飲むとき、酒の肴になればいい」という程度のノリでファイトの記者募集に応募した著者と、“プロレスファン上がり”ではなくスカウトという形で新日入りした前田。

ライター情報

寺西ジャジューカ

1978年生まれ。ブライアン・ジョーンズとビートたけしと前田日明と大江慎也と有吉弘行と篠田麻里子が好きです。ブライアン・ジョーンズと菅井きんと誕生日が一緒。

URL:Facebook

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!