今注目のアプリ、書籍をレビュー

2

前田日明への愛が試される『1984年のUWF』

2017年2月2日 10時00分 ライター情報:多根清史

総合格闘技に受け継がれる“U”の遺伝子


UWFとはユニバーサル・レスリング・フェデレーション、1984年に旗揚げして以来、一世を風靡したプロレス団体だ。入場式に使われたUWF公式テーマは、田村潔司VSヘンゾ・グレイシー戦などの大一番にも流され、ファン達は感情を爆発させる。「Uの遺伝子を継ぐもの」というその曲の通称は、「今あるプロレスや総合格闘技はすべて‘’U‘’の影響下にある」という強烈な自負を孕んだものだ。

そんな伝説の団体をテーマとしたのは、『1976年のアントニオ猪木』などの名著を送り出してきた柳澤健だ。マットに寝転がって超低空の「アリキック」を仕掛けるしかなかった猪木・モハメッドアリ戦を、そこに至るまでのルールや「シナリオ」をめぐるやり取りを含めて描き出したドキュメンタリーの手法は、最新作『1984年のUWF』でも健在だ。
ただし、今回は前著のような「新事実」はほとんどない。真剣勝負と思われていたUWFでも試合前から勝ち負けが決まっていたこと。そして前田日明とジェラルド・ゴルドー戦で、前田がハイキックをキャッチしてアキレス腱固めで勝利……の前に全くゴルドーの打撃に対応できてなかった裏事情もチラホラ聞こえてきたし、知らなくても今の目で見ればなんとなく察しがつく。
それは我々が「総合格闘技が当たり前になった時代」にいるからだ。総合格闘技のルールを整備し、何より「真剣勝負」の面白さが世の中に受け入れられる下地を作った存在を振り返ってるという意味で、本書はUWFの価値を貶めるものじゃない。

初代タイガーマスクにして夢の総合格闘家・佐山聡


初代タイガーマスク=佐山聡。この本の主役の一人であり、1981年にマスクを被って蔵前国技館のリングに上がるや、日本どころか海外まで熱狂の渦に叩き込んだ稀代のプロレスラー。そして打投極ーー打撃と投げる、関節を極める組み技を融合させたシューティング(後の修斗)の創始者だ。
いきなり場外からコーナーポストの上に飛び上がるデタラメな身体能力、組まずに打撃から始まる戦い、空中殺法でリング空間をフルに使った四次元殺法。プロレスの天才だとは分かっていたし、総合格闘技をいち早く考えていたことも知っていたが、18歳から「打投極」を大書して自分の部屋に貼っていたとは!
日本のプロレス団体には厳然とした年功序列が存在するが、佐山は抜群の集客力と会社への高い貢献度によっていともたやすく打ち破り、アントニオ猪木よりも人気あるエースとして君臨した。

ライター情報

多根清史

1967生。『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)など。

URL:Twitter:@bigburn

「前田日明への愛が試される『1984年のUWF』」のコメント一覧 2

  • JG 通報

    この本に書かれてる事を鵜呑みにしてしまった人の一人って感じの文章ですね。

    2
  • 匿名さん 通報

    前田のあっちゃん熱いぜ!!

    1
コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!