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一発屋が一発屋を直撃、山田ルイ53世「一発屋芸人列伝」彼らは消えたんじゃない現れたんだ

2018年6月6日 09時45分 ライター情報:井上マサキ
2015年3月。代官山のオシャレな店に、時代を彩った「一発屋」たちが集結した。テツandトモ、小島よしお、コウメ太夫など、総勢15名。「ルネッサ〜ンス」で乾杯し、「ゲッツ!」の唱和で締められたその会合は「一発会」と名付けられた。

その席上で盛り上がったのが「一体、自分は○発屋なのか」という検証だった。ダンディ坂野をちょうど1発としたら、小島よしおは2発はあるのではないか。じゃぁ俺は0.8発くらい? あいつは1.2発じゃない? そのとき、髭男爵の山田ルイ53世は、こんな都市伝説を想像したという。

「数字を全部足したら“8.6”になるんじゃ……」

山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』(新潮社)は、世間から「消えた」と言われる一発屋芸人たちに、自らも「一発屋」を名乗る著者がインタビューしたノンフィクション。

「雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した本作は、一発屋たちの「自虐エピソード集」や「瞬間最大風速エピソード集」ではない。徹底しているのは、彼らの面白さを解き明かす姿勢と、いまも芸に生きる姿を伝えること。帯に添えられた一文は「それでも、人生は続く」だ。
山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』(新潮社)

同業者による「舞台袖」からの目線


『一発屋芸人列伝』では、一発屋芸人たちが「一発を当てるまで」と「一発を終えてから」に焦点をあてる。ポッと出のように見える一発屋芸人にも、もちろん紆余曲折がある。そして売れたことには理由がある。

レイザーラモンHGが「ハードゲイ」キャラを思いつき、実際にブレイクするまでには実に5年の月日がかかった。レザーファッションを身につけ腰を振るも、最初は全く相手にされない。本当のゲイではないHGは熱心にハードゲイの研究を続け、新宿2丁目の老舗に挨拶に行き、おすぎとピーコなど重鎮の許しも得た。ただコスプレをしただけのキャラ芸ではないのだ。

「ここまでして練り込まれたキャラクターは、重厚さ、つまり面白さの桁が違う」と山田ルイ53世は言う。舞台袖から見た「面白さ」「技術の高さ」の分析は、やはり説得力が違う。

たとえば、ジョイマンの脱力系ラップは「誰にでも真似できる代物ではない」と断言する。「ありがとう、オリゴ糖」「二三本、イビョンホン」など、脈略のない言葉を2つ並べ、韻を踏み、かつ笑いを取るのはとても難しい。2つの言葉に少しでも意味が生じれば、ただのダジャレになってしまうからだ。

また、コウメ太夫については「調律されていないピアノ」「全てが的外れ」と表現。

ライター情報

井上マサキ

1975年石巻出身のフリーライター。元SEで2児の父。スマホアプリ・パパ育児・お笑いを中心に活動中。路線図鑑賞家。ケータイ大喜利第14号レジェンド。

URL:Twitter:@inomsk

「一発屋が一発屋を直撃、山田ルイ53世「一発屋芸人列伝」彼らは消えたんじゃない現れたんだ」のコメント一覧 2

  • 匿名さん 通報

    芸人のほとんどがテレビにすら出れずに消えていくのが現実

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  • 匿名さん 通報

    どんな業界であれ一発当てることができた時点で奇跡的な勝者。99.9%は一発も当てることができず消える。

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