もはや恒例となった感のある、Amazonによる秋のKindle新作発表会。2012年は9月6日に行われ、Kindle Fire HD、Kindle Fire(無印のパワーアップ版)、Kindle Paperwhite、Kindle(無印のパワーアップ版)などが発表されました。


何を買えばいいのか? という質問はなかなか難しいです。ただ、前世代のKindle FireとKindleを持っている身から言わせてもらうと、自炊でたくさん本を読む派にはKindle(新世代)一択と言えるでしょう!

というわけで、Kindle(新世代。ややこしいので以下Kindle5)を購入し、実機が届きましたのでKindle(前世代。ややこしいので以下Kindle4)とを比較しつつ詳しく紹介していきたいと思います。ちなみに前回のKindle3とKindle4を比較した記事も参考にしてみてください。

■まずは価格と購入方法から

日本ではまだKindleは未発売ですので、海外のAmazon.comへとアクセスする必要があります。
まずはこちらのページにアクセスしましょう。

すると値段の書いてあるところのすぐ下に「Select: Kindle with Special Offers」とか書かれた項目があります。これは広告あり版となし版を選ぶところなのですが、この段階ではどちらを選んでもかまいません。Add Cartを押して買い物を進めていきましょう。すると日本には送れないというメッセージが出ます。

Important Message
Kindle, 6" E Ink Display, Wi-Fi - Includes Special Offers cannot be shipped to the selected address. To purchase Kindles available to you, please visit the Kindle product page on Amazon.com (intl.)

というところですね。
このAmazon.com(intl.)の部分がリンクになっているので、そこをクリックすると国際版のページにたどり着くというわけです。

長々と書きましたが、面倒な方はこちらのページに直接アクセスしていただくといいでしょう。

国際版は$89です。日本円にすると7289円(記事執筆時)です。そこに送料が981円(これも記事執筆時)かかりまして、合計で8270円で購入することができました。はっきり言って、安いです。
円高おそるべしですね。

注文が完了したら1週間ぐらいで届きます。

■外見は黒くなっただけ?

ではKindle5の外見を見てみましょう。はっきり言って、サイズは縦166mm横114mm厚さ8.7mmで、何も変わりがありません。B6版よりも小さく、男性なら簡単に上着のポケットに入れることができるでしょう。もちろん重さも170gと変化はありません。
この辺はKindle4のパワーアップ版という位置づけなので当然とも言えます。

大きく変わったのは色で、Kindle4のグレーからKindle5では黒になりました。手触り的には、Kindle5の背面がちょっとしっとりと手に吸い付くようになっている感じです。

個人的にKindleの最大の売りと考えている、左右両方についているページ送りボタンも健在です。Kindle4と寸分違わぬ同じところについています。このボタンがあるおかげで、誤操作もせず、右手でも左手でも快適に読書をすることができるのですね。


Kindle TouchやKobo TouchやReaderなどのタッチパネル操作を否定するわけではありませんが、ふと触ってしまったときに勝手にページが送られなくて済む、おかげで乱暴にいろんな姿勢で持っても快適に読書ができる、右手でも左手でも操作感が変わらない、という点でタッチパネルよりもボタンの方が優れていると思います。タッチパネルの方が優れている点は、ボタンを押し込むほど力がいらない、ページをめくっている感じがする、ぐらいでしょうか。

タッチパネルじゃないからこそ、液晶部分に無造作に触って(持つ時に手が当たってもいい)というのは大きいのですね。この辺が、自炊をして四六時中本を読みたいユーザーにKindle(無印)を推す最大の理由です。

Kindle Paperwhiteにもこのボタンをつけてくれれば良かったのに……(まだ実機を見ていないので何とも言えませんが)

■液晶まわりの改善

Kindle4とKindle5とで違う点は、ずばり液晶にあります。

Kindle5の方がKindle4に比べてコントラストがはっきりとしています。
白が強くなっている印象ですね。同じファイルを開いても文字がはっきりと見えます。

液晶の解像度は600×800(有効解像度は560×734)のままで変わりは無いのですが、より白さを強調した液晶のおかげで読みやすくなっています。Kindle4では文字を濃い目に調整していたファイルもそのままで読めるようになっていました。

ちなみに発表時にあった「ページめくり速度が15%早くなりました」は、Kindle4とKindle5の両方で同時にページをめくると確かに早くなったとわかる程度です。もともとのKindle4のページめくりがかなり早いので、この辺は本当に少しだけ早くなったという印象です。

■ソフトウェアの進化は?

中身のソフトウェアもほとんど変わりがありません。Kindle4とKindle5は同じOSが搭載されています。

ちなみにKindle4購入時から数えると、一度OSのアップデートがあり、WiFiのオン/オフが「設定」メニューの中の機内モードのオン/オフという形に変わっています。他のKindleと合わせるためという形だったのですが、操作が増える分、ちょっと不便かもしれません。

■結局のところは買いなの?

では、Kindle5は本当に買いかどうか、まとめてみましょう。

すでにKindle4を持っている人は、買わなくても大丈夫ではないでしょうか。メモリも2GBのままですし、ページめくりはKindle5の方が少し早くなったとはいえ、十分以上に実用的な速度が出ています。

色々なショップから電子書籍を購入して読みたいという方は、もう少し待った方がいいでしょう。まだKindleは日本に上陸していません(記事執筆時)。Kindle5は日本では未発売ですので輸入して購入するしかないのですが、いざ日本ショップがオープンしたときに輸入版が確実に使えるという保証が無いからです。

本を読むシチュエーションが限られていて、しかもそれが、仰向けに寝っ転がって本を頭上にかかげて読むという方。Kindle5はフロントライトがついていないので、天井の明かりをつけたままにしているとちょっとだけまぶしく感じちゃうかもしれません。そんな方にはフロントライトがついているKindle Paperwhiteが手に入るようになるまで待つ方がいいかもしれません。

自炊したデータを読む端末が欲しくて、色々な機種選びで迷っている方。こういう方にはかなりオススメします。軽く、誤操作が無く、右手でも左手でも読める。いつでもどこでも本が読めるという点では、このKindleが一番だと言えるでしょう。
(杉村 啓)