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今年、ハサミ業界に革命が起きていた

2012年11月27日 11時00分 ライター情報:杉村啓

白がフッ素コート、青がチタン。このようにケースがついているため、いつでも鞄に放り込んでおける。

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もう何年も、少なくとも自分がその製品のことを知ってからほとんどデザインが変わっていないのでは? と思うような製品ってありますよね。個人的にはそういう製品のうちのひとつが「ハサミ」でした。

指を入れるハンドル部分。中央にある支点。まっすぐな刃が2枚。ハンドル(グリップ)部分の形状が違ったり、刃の部分の材質が違ったり、大きさが違ったりするものはあっても、基本的な仕組みは変わっていません。このハンドル部分を握ると、テコの原理でその力が刃に伝わり、刃同士があわさってその間にあったものが切れる、という仕組みです。非常に効率が良くかつ合理的な仕組みで、ほとんど変わらずここ何年も使い続けられていたのではないでしょうか。

このハサミですが、多くの方が「刃の根元」を使っていることと思います。基本的にテコの原理を使っているため、根元の方が力が入りやすいこと。さらに、ハサミは根元の方が角度が大きく、先の方が角度が狭くなります。角度が狭い方が切るためにより大きな力が必要になるのですね。この2つがあわさって、どうしても刃先だと切れ味が鈍るのです。途中までは気持ちよく切れていても、刃先の方にさしかかると「くにゃっ」とした手応えとともに、紙とかが切れずに刃と刃の間にはさまるような感じになったという経験をした方も多いのではないでしょうか。

そんな風にデザインにおいて変化が無いと思っていたハサミなのですが、今年の頭に発売された「フィットカットカーブ」というハサミがすごいんですよ! 従来の常識を覆すほど画期的なハサミなのです! まさにハサミ業界に起きた大革命と言ってもいいのではないでしょうか。このフィットカットカーブを知ると、今までのハサミはハサミじゃなかったんじゃないか、これこそが真のハサミなんじゃないかと思ったりもします。

いったいどこがどう従来のハサミと違うのか。それは刃部分です。ここがまっすぐでは無く、ベルヌーイカーブと呼ばれる曲線を描いているのですね。なので、この刃をベルヌーイカーブ刃と言います。

え? これだけ? と思うかもしれません。でもこれがすごいんです。この微妙なカーブのために、刃と刃の角度が常に一定になるんです。

従来のハサミだと刃がまっすぐなために、開いてから閉じていくと、どんどん角度が狭くなっていきます。そのため、同じ力でハサミを使っていると先端の方で「くにゃっ」とするのですね。ところが、この微妙なカーブがあると、根元だろうが先端だろうが、刃の開く角度が一定になるのです。

ライター情報

杉村啓

醤油と日本酒と料理漫画とその他諸々をこよなく愛するライター。なんでも超丁寧に解説します。近著に『白熱日本酒教室』(星海社)、『醤油手帖』(河出書房新社)ほか。

URL:醤油手帖

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