大河ドラマ「八重の桜」人気が日本酒へも波及! 
2月4日~10日、東京駅の飲食店では、会津若松・末廣酒造と京都・山本本家による2種類の日本酒「八重さん」を無料で振る舞う復興応援企画『八重さんのお酒ウィ~ク』が開催されていました。
気付いたのが最終10日で、行ってみたけどもう「八重さん」飲めなかった……というか、イベントの存在もさることながら「八重さん」なんて日本酒があることを知らなかったよ、福島県出身なのに。


そもそも、日本酒ってわからないことだらけだ。
どの日本酒がどこの産地かも数が多すぎてなかなか覚えられない上に、本醸造酒と吟醸酒と純米大吟醸って何がどう違うの? といった具合に次から次と疑問がわき上がる。
こんな疑問に的確に答えてくれるのが、エキレビ!ライターでもあり、自由大学・日本酒講座で講師を務める杉村啓さん。過去の記事でも日本酒の選び方を簡潔に解説してくれています。

去る11日(月)、その杉村さんが講師をつとめるイベント『もっとも~っと日本酒を知りたいっ! やさしい日本酒講座Special』が、ニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」で行われました。

そもそもは2012年2月の同人誌即売会イベント・コミティアX-IIIで行われた『もっとも~っと日本酒を知りたいっ!』のリバイバル公演。
日本酒に関する同人誌で人気を博す「酩酊女子制作委員会」「まつり蔵麹室」と杉村さんのサークル「醤油をこぼすと染みになる」がコラボレーションして生まれた企画で、「日本酒に興味はあるけれど、なんだか難しくて詳しいことはよくわからない」という人のための「世界一やさしい日本酒講義」が、今回は試飲もできるスペシャル版として帰ってきたのです。100の座席が数時間でsold-outしたということからも注目度の高さがわかります。

今回の講義では10蔵20種以上のお酒を飲みながら、奥深き日本酒の世界を丁寧に指南していきます。
といっても、いきなり飲める訳ではありません。
悪酔いしないためには、肝臓の働きを助けるための「水」(いわゆるチェイサー、日本酒の場合は「和らぎ水」)がいかに大切か、という座学から始まっていきます。
そしてようやく各テーブルに並べられた3種類のお酒。

<川中島・純米にごり酒><川中島・幻舞 純米吟醸><川中島 幻舞 吟醸>
同じ蔵が、同じ米で作った日本酒の違いを味わうことから、日本酒の適切な飲み方や選び方、製法や材料の違いで生まれる微妙な差を学んでいくのです。

今回の講座で特に目から鱗だったのは日本酒と「温度」の関係性。
よく、「日本酒を冷やで飲んだら悪酔いする」なんてことを言ったりしますが、あれはてっきり、冷やだとツルツル喉ごしよろしくたくさん飲めてしまうからだと思っていたら大違い。
体温より温度の低いお酒は、体の中で体温と同程度に温められてからようやくアルコールが吸収されるんだとか。
つまり、(1)飲んだお酒の温度が低ければ低いほど体内で温まるのに時間がかかる→(2)なかなか吸収が始まらない→(3)まだ酔っていないと思ってしまう→(4)だからもっとお酒を飲んじゃう→(5)酔ってきたな、と思ったときには既に体の許容量以上のお酒を飲んでいて→(6)悪酔する という悪循環が生まれるのです。

そんなわけで、お酒に弱い人、そして悪酔いしたくない時には、お燗にして飲むと酔いが早くまわり、結果、適量以上のお酒を飲まなくて済むことになります。


じゃあ、どんなお酒が燗酒として向いているのか。それは「旨味や酸味が強い濃醇タイプ」。燗につけたとき、旨味がよりふくらむ傾向にあるそうです。
いや、それ以前に「お燗」って「熱燗」と「ぬる燗」しか知らなかったのですが、日本酒の温度変化には実に9種類もの呼び名があるって知ってました?
55℃以上……飛び切り燗
50℃…………熱燗
45℃…………上燗
40℃…………ぬる燗
35℃…………人肌燗
30℃…………日向燗
15℃…………涼冷え
10℃…………花冷え
5℃……………雪冷え

季節やシチュエーション、お酒の種類に応じて好みの温度を見つけていく楽しみもある、ということですね。
いやぁ、知らないことばかりだ、日本酒。

実際に会場では、同じお酒を冷やと熱燗で飲み比べてみることもできました。

私がチャレンジしたのは「ピュアハニー」という日本酒とハチミツのブレンドリキュール。冷やでも鼻奥にグッとハチミツの甘味が広がるこのお酒、熱燗にするとさらにあっまーい<(c)スピードワゴン>んですよ。でも、甘さが舌に残らない、嫌みのない味で美味しい。杉村先生のオススメはこれをコーヒーやエスプレッソに砂糖代わりに入れたり、アイスクリームにかけたりする楽しみ方。調べてみたらこの「ピュアハニー」、福島のお酒。ということで私もすっかりファンになってしまいました。


飲み放題チケットで浴びるように飲んでしまったからか、気付けばどこまでも日本酒漬けになってしまったこのイベント。まあ、和らぎ水をしっかり飲んいでるから大丈夫だろう、と思っていたら、イベント終了を待たずに酒よりも先に会場で用意していた水がなくなるという事態に。
酒に飲まれず、みんなしっかり講義の内容を理解していたようです。
(オグマナオト)