お久しぶりです! 「けいおん!!」クレイジーなぼくです!
が。
声優のライブとかってものっすごく抵抗あったんですよ。

普段夏フェスとかジャズライブとかには行くんですが、「サイリウム(光る棒)を振るライブ」ってほぼ行ったことないのです。
しかも声優さんでしょう、歌の本職じゃないわけです。うーん、それは音楽ととらえていいのかなあ、みたいな偏見もあり、「大人向けじゃないんだろうなあ」と首を傾げていたんですよね。アニメが好きだから楽しめるだろうけどー程度でしたが……今思うとかなり穿った目線だったよ! そう思っていた自分に、過去に戻って延髄蹴りかましたいね!
一昨年の「けいおん!(びっくりマークは一個)」ライブに、アニメが好きだったからという理由で「どこまで乗れるかわかんねーな」とか思いつつ行ったら……どハマりしまして。
今回は「けいおん!!」二回目のライブなのですが、確信しました。
これは大人が楽しめるライブだ。
特に三十代
 
事実として、声優さんは歌のプロじゃないです。
観客としては当然彼女達に「楽器・歌のプロらしさ」は求めていません。求められようはずがない。
ところが彼女達、こなすんですよ。確かに声優さん達の演奏は完璧ではありませんが、仕事の合間に練習し続けているんです。
今回は間違いなく一昨年よりうまくなっていました。多少簡単にアレンジされているものの、ずぶの素人の、本職とは関係ない楽器を必死に演奏している。
しかもさいたまスーパーアリーナの三万人の前で。
もうこれだけで叫ばずにいられないんですよ「がんばれ!」って。
 
この時気づきました。
アニメ「けいおん!」は1年生から3年生にかけて少女たちが成長をする物語。
よく聞くとわかるのですが、作中の彼女たちの演奏もレベルアップしているんです。そういう風に作曲されているんです。
声優さんたちは演奏経験なし、ほぼ0から練習しています。アニメキャラとまったく同じ「成長」を舞台の上でぼくらは見ている。追体験している。
このドキュメンタリー感が「けいおん!!」ライブの企画のすごさなんです。
作品と、声優さんたちの本気と、観客が一体になれる場所を作ってしまった。
思いを伝えるのにぴったりはまるのがサイリウムの棒。こぶしを突き上げるのもいいけれど、手に光をもって応援する様子は、ちょっとした「ロッキーホラーショー」状態。あるいは今の「プリキュア」映画のミラクルライト状態。
 
今回のライブのラストで一番印象に残っていたのは、秋山澪役の日笠陽子さんのセリフでした。
普段はお笑いや下ネタまでこなせる元気な声優さんなんですが、もう自分達の演奏一曲目で感極まりすぎてボロッボロに泣いてるんです。
さすがに「はやいよ!」と突っ込まざるを得ませんでした。
しかし泣きながら演奏し、嗚咽しながら歌い終えて、最後彼女は叫んだね。
「怖かったです! でもみんなに支えられたから、みんなを支えたいと思ったんだよ!」
3万人のホールに響き渡る、すさまじい絶叫でした。
てっきり「緊張しましたー!」みたいなノリかと思ってたのにさ! なんだよ、ガチの本音だよ! そんなんぶつけられたら震えるだろうがよ! なんだこれ、なんだこの「生」。
応援したくなる、一緒に成長したくなる。あるいは成長を途中でとめた経験のある人が「がんばろう」と思いたくなる。
それが「けいおん!!」ライブの底力。
かわいい、楽しいじゃすまされない。徹底したコンセプトに恐れ入りました。そりゃ悪いけどぼくも、サイリウムとか振ったことほとんどないけど、めっちゃ振るよ!

声優の彼女たちが必死に演奏している姿を見ると、おそらく30から40代くらいの年齢層の人ほどクるものがあると確信しました。
ギターやベースを始めたくて買ったものの、仕事の忙しさや練習の難しさで部屋に眠らせてしまっているのってちょうど30代くらいが多いと思うんです。この経験をしている人が、声優さんたちの、いくら仕事とはいえ本職じゃない演奏(しかもベースに至っては、作中キャラの秋山澪にあわせてレフティで弾かされるという無茶っぷり)を必死にやっているのを見せられるんですよ。自分達の体験もあいまって、さまざまな角度からノスタルジックな思いがシンクロし「がんばれ!」と叫ばずにいられなくなっちゃうんです。
会場中に響き渡った「がんばれ!」は、キャラへ、声優さん達へ、そしてめぐりめぐって自分達への「がんばれ!」に変化しました。
 
「けいおん!」のOPとED、そしてキャラソン(キャラクター特有の背景を描いた歌で、CDシングル売り上げもオリコンランキング上位に入るほど人気)は歌も演奏も難しいもの揃いです。BPM250超えだったり、途中に変拍子をはさんだり。
このへんの演奏はプロが行い、がっちりしたバンドサウンドを作り上げています。その上で声優さんが、テクニカルな歌を歌いこなすように徹底させた企画構成の仕方は、ライブ慣れした人でも聞き応え十二分。
特に「Utauyo!!MIRACLE」というOP曲は、最初出た当時「これは機械で声を変えているんじゃないだろうか」と言われたくらいに難しい歌なんですが、生で歌いこなしてくれました。決して「なんちゃって」でできるもんじゃない、これは立派な「音楽」だ。
耳の肥えた人も楽しめるように、バックバンドの目立つシーンを差し込んでいる構成にしているのが、またいいんですよ。ギターもベースもドラムも二つずつ用意されていて、キャラソンの合間に演奏バトルをするんです。自分もドラムをかじっていますが、ドラムバトルに興奮しました。アニメと関係ない部分での面白さも盛り込まれている。
おそらくメタルジャンルのCDとしては昨年最も売れたと思われる「DEATH DEVIL」という作中バンドのガチンコメタルも二曲上演。派手な炎の演出と、さわ子先生役の真田アサミさんのパワフルすぎる歌唱力で、メタル好きな人も満足できる音を聞かせてくれました。
もうね、こんな「一生懸命な声優さん達」と「すごい演奏」を聞かされたら、こっちが元気になっちゃうよ!
 
もちろん声優ライブ未経験となると、オタク系ライブならではの掛け声や、サイリウムを振ることの不思議な感覚や抵抗はあるかもしれません。しかし自分が経験したから言えます、慣れてなくても全然大丈夫。実際「けいおん!!」のライブはおそらくそういうライブ初体験の人がすごく多かったです。しかし回りにあわせて声を出していれば一瞬で慣れます。
まだ現時点ではわかりませんが、おそらくライブDVD・BDが出ると思います、出るといいなあ。
気になる方は、是非前回の「けいおん!」ライブのDVD・BDを見てください。自分は「プロの歌手じゃないしなあ」と思っていた気持ちが180度変わりました。声優さんという音楽の素人と、プロフェッショナルの演奏者の音が組み合わせられることでこんなに面白いものができるんだと。おっさんな自分の心を刺激してくれるんだと。
ありがとう、特に絶叫した日笠さん。
今日からがんばる。がんばるんだよ!(絶叫
(たまごまご)