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ある日突然、目の前に美少女が! ゲーマー世代の理想郷「スコット・ピルグリム VS.邪悪な元カレ軍団」

2011年5月9日 10時00分 ライター情報:池谷勇人

7人の「邪悪な元カレ」はいずれも個性的な能力の持ち主。マリオみたいな「ファイア・ボール」の使い手や、「ソウルキャリバー」のアイヴィーみたいな”蛇腹剣”の使い手など、ここにも様々なゲームへのオマージュが満載!

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「ミスター・ピルグリム! オレはラモーナの最初の邪悪な元カレだ! さあ、決闘を始めよう!」

リアルでこんなセリフ、一度は言われてみたいよなあ。いとしのラモーナと付き合うには、どうやら7人の「邪悪な元カレ」を倒さなければならないらしい。ええと、それってつまり、どんな「高嶺の花」でも、元カレさえ倒せば晴れてお付き合いできるってコト?(←だいたいあってる)

そこには「恋の駆け引き」なんてややこしいものはなく、あるのはシンプルかつ明確な「ルール」と、「クリア」という目標だけ。エドガー・ライト監督の最新作「スコット・ピルグリム VS.邪悪な元カレ軍団」はつまり、恋愛映画ではなく「恋愛映画の形を借りたゲーム映画」なのだ。

自身も熱心なゲームファンであるというエドガー・ライトは、この映画で、ある種のオタク、ゲーマー世代にとっての「理想郷」を描いた。主人公のスコット・ピルグリム(22歳、無職)は、夢で出会った美少女ラモーナ・フラワーズに一目惚れしてしまったがために、否応なしに邪悪な元カレたちとの戦いに巻き込まれていくことになる。

ある日突然、目の前に美少女があらわれ、そして倒すべき強敵が目の前に立ちふさがる。退屈な日常が、自分を中心にゲームのフィールドへと変わっていく──。
スコット君が置かれた状況は、一見めんどくさそうに見えて、実はゲーマー的には「願ってもない」展開だ。なぜか自分は世界でただひとりの特別な存在で、巻き込まれるがままにバトルを勝ち抜いていけば、最後には望みのものが手に入ってしまう。ゲーマーなら誰でも一度は、そんな都合のいいヒーロー像にあこがれたことがあるはずだ。あ、もちろんマジで痛いのとか辛いのはNGね!

見た目はヒョロヒョロのオタク青年。「スパイダーマン」みたいな超能力もなければ、「バットマン」みたいにヒマラヤの奥地で厳しい修行を積んだわけでもない。なのになぜか元カレたちとの戦いになると、人並み以上のバトルセンスを発揮し、リアルで空中コンボ(64HITS!)を決めちゃったりするスコット君は、まさにそんな「都合のいい」ゲームのキャラクターを体現している。
どんなに派手にブン殴られてもキズひとつつかず、倒した敵はコインに変わって崩れ落ちる。爽快感はあるけど、リアルな「痛み」はない。それこそステージをクリアしていくような感覚で、並み居る元カレたちを倒して快進撃を続けていく。ゲイのルームメイトとのやりとりや、元カノとのいざこざとか、バトル以外にも笑えるポイントはたくさんあるけど、やっぱりスコット君が活躍しまくる「元カレたちとのバトルシーン」こそがゲームの本編だと思う。

ライター情報

池谷勇人

ゲーム業界を中心に活動するフリーライター、でしたが、2012年にITmediaへ入社。現在はゆるふわニュースサイト「ねとらぼ」で記者をしております。

URL:Twitter:@tekken8810

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