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22日から連続。トヨタ自動車全面協力ドラマ「LEADERS リーダーズ」の背景を読む

2014年3月20日 10時00分 ライター情報:近藤正高

本所次郎『小説 日銀管理』光文社
2014年3月22日・23日に放映されるTBSのスペシャルドラマ『LEADERS リーダーズ』の原案の一つ。終戦直後、経営危機に瀕したトヨタ自動車工業(当時)が、日銀名古屋支店から融資を受けて乗り切ったという史実を、フィクションを交えて小説化した作品。登場する愛知佐一郎や石山又造などの人物名は、ドラマでも踏襲されている。

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今週末、3月22日(土)・23日(日)と2夜連続でTBS系列で大型ドラマ「LEADERS リーダーズ」が放送される。ドラマの主人公は、国産自動車の開発・事業化に生涯を捧げた愛知佐一郎(佐藤浩市)。公式サイトの「はじめに」《第二次世界大戦前後、(中略)モノづくりに人生を賭けた人間たちの生き様を、史実に基づいたオリジナル作品として、トヨタ自動車全面協力のもと壮大なスケールと究極のリアリティをもってドラマ化する》との一文からもあきらなかなように、佐一郎はトヨタ自動車(旧・トヨタ自動車工業=トヨタ自工)の創業者である豊田喜一郎をモデルにしている。

佐一郎の周辺の人物も、そのモデルはだいたい見当がつく。息子の洋一郎(溝端淳平)は喜一郎の長男の豊田章一郎、甥の正二(椎名桔平)は喜一郎のいとこにあたる豊田英二と、歴代のトヨタの経営者をモデルにしていることはあきらかだ。また橋爪功演じる石山又造は、その名前を見ても、今回のドラマの原案の一つである本所次郎『小説 日銀管理』での同名の人物の役回りからいっても、喜一郎のあとトヨタ自工の3代目社長を務めた「トヨタの大番頭」石田退三を思い起こさせるのだが、ドラマの公式サイト「人物相関図」での紹介に《愛知自動織機社長。自動車に反対だったが、佐一郎の熱意で翻意》とあるのを読むと、喜一郎の妹婿で、豊田自動織機製作所の社長のほかトヨタ自工の初代社長も務めた豊田利三郎の立場にも近いような気がする。ドラマではおそらく、石田と利三郎のイメージを掛け合わせた存在として描かれるのではないだろうか。

このほか、ドラマに出てくる東京帝国大学工学部教授の隈沢和志(市川右近)のモデルは、喜一郎から請われて東大教授からトヨタ入りした隈部一雄でまちがいないだろうし、ドラマ中の日本銀行総裁・財部登(中村橋之助)は、終戦直後の日銀総裁・一万田尚登を、財部の秘書の山梨良夫(香川照之)は、やはり終戦直後に日銀名古屋支店長を務め、経営危機に陥っていたトヨタに2億円の融資を決断した高梨壮夫をそれぞれモデルにしていると思われる。

豊田喜一郎の生涯を描いた映像作品としてはこれ以前にも、1980年に公開された「遥かなる走路」(佐藤純彌監督・新藤兼人脚本)がある。喜一郎の役を6代目市川染五郎(翌年に9代目松本幸四郎を襲名)が演じたこの映画は、木本正次の小説『夜明けへの挑戦』(1979年)を原作にしている。木本はやはり映画化された『黒部の太陽』をはじめ、産業界を舞台にした実録小説を数多く著した作家だ。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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