バンダイの大人気アイドルオーディションゲーム「データカードダス アイカツ!」の初代プロデューサー(現・プロジェクトマネージャー)原田真史さんと、現プロデューサーの廣瀬剛さんによるスタッフ対談。後編は、10月から稼働する2015シリーズの新機能や注目ポイントについて、さらに深く探っていきます。


(前編はこちら

全国のユーザーのマイキャラをスカウトできる。

―――2015シリーズのメインキャラクターになる3人、大空あかり、氷上スミレ、新条ひなきについて、もう少し詳しく教えて下さい。
「アイカツおじさん」にも機能を楽しんで頂けます「データカードダス アイカツ!」プロデューサー対談 2

廣瀬 2014シリーズまでのメインキャラクター、星宮いちご、霧矢あおい、紫吹 蘭の3人は、ユーザーの方にとっても、我々製作スタッフにとっても、「アイカツ!」という作品の根底になるような存在だと思ってます。あかり、スミレ、ひなきの3人も、いちご、あおい、蘭の3人のような存在を目指して生みだしたキャラクター。それぞれ個性も違い、3人での相乗効果も起きるようにと考えています。また、スミレは「LoLi GoThiC」、ひなきは「Vivid Kiss」という既存ブランドをイメージしたキャラクターですが、あかりは新ブランド「Dreamy Crown」のイメージを担うキャラクターでもあります。

―――「Dreamy Crown」は、どのような方向性のブランドなのでしょうか? 
廣瀬 「アイカツ!」では、キャラクターやブランドを「キュート」「クール」「セクシー」「ポップ」の4タイプに分けていますが、「Dreamy Crown」は「キュート」タイプのブランドになります。いちごちゃんが着ている「Angely Sugar」もキュートタイプで、女の子にとっては一番王道の可愛らしいデザインなんですね。その王道路線は引き継ぎつつも、ベースになる色などを少し変えることで差別化を図っています。
―――ゲーム筐体のネットワーク機能強化によって、ゲームのシステム自体も大幅にパワーアップされるそうですね。他のプレーヤーのマイキャラとユニットを組めるようになるということですが、これはどのような狙いが?
原田 おかげさまで、現在のアクティブユーザーは80万人を超えています。大人の方もプレーしてくれているとはいえ、圧倒的に多いのは小学生の女の子たち。
こんなに多くの女児が一つのことをやってくれているという状況は、そうは無いだろうと思います。そこで、それを生かす形での強化というのがまず一つ。あと、マイキャラを作って遊べることが「アイカツ!」の特徴でもありますので、誰かのマイキャラと一緒にオーディションを受けたいというリクエストも以前からありました。
―――たしかに、面白そうだと思います。
原田 実際にリクエストを下さる方は、大人の方が多いんですけどね。80万人のユーザーという強みを生かしながら、ユーザーのリクエストにも応える。
今回、実装されるユニット機能は、その両方の条件に合致した仕様ということになります。
―――ユニットを組める相手については、条件などがあるのですか?
廣瀬 いえ、ありません。
原田 そのあたりのことについては、まだあまり情報を出していないところになりますね。お友達など知り合いのマイキャラと組むこともできるし、まったく知らない人のマイキャラと組むこともできるんです。
廣瀬 ソーシャルゲームでは、自分がプレーしている時、他のプレーヤーのアバターが登場するのは普通ですよね。「アイカツ!」でも同じように、全国のプレーヤーのマイキャラが登場して、一緒にユニットを組めるようになるんです。

原田 ゲーム中では「スカウト」と呼んでいます。「このアイドル可愛いな。このオーディションは、この子と受けたいな」と思ったら、スカウトしてユニットを組めるんです。つまり、北海道の子から沖縄の子まで、たぶん「アイカツ!」がなければ出会う事のなかった2人のキャラが一緒にユニットを組むこともできる。逆に、自分のマイキャラが他のプレーヤーにスカウトされることもあります。だから、自分がプレーしていない間に、マイキャラは他のアイドルとアイドル活動をしていて、ファンが増えたりもするんです。

―――マイキャラがスカウトされたことは、どこかで分かるのですか?
原田 「データカードダス アイカツ!」の公式ホームページから見られる「マイルーム」が、「アイドルック」という新システムに生まれ変わります。そこに「○△ちゃんとオーディションを受けた」などと記載されていきます。
―――自分の育てているアイドル(マイキャラ)がスカウトされるというのも楽しそうです。たくさんスカウトしてもらうために、マイキャラのドレスのコーデなどに、よりこだわったりするわけですね。
廣瀬 そうなって欲しいですね。最後に遊んだコーデを登録しますかと聞かれるので、それを登録すれば、他のプレーヤーのゲームにユニットの候補として、そのドレスを着て出てくるわけです。

原田 デフォルトのTシャツ、短パンみたいな格好で登録していたら、ちょっとスカウトはされないでしょうね(笑)。
―――デフォルトの服装、部屋着にしてもちょっと……ってくらい地味ですからね(笑)。確認になるのですが、友達として登録しているプレーヤーがいなくても、ユニット候補は、全国のプレーヤーからランダムで表示されるわけですか?
廣瀬 はい、そういう形になります。
―――それは嬉しいですね。「アイカツ!」のゲームをやってる「アイカツおじさん」は、周りに僕以外いないんですよ(笑)。
廣瀬 そういう方にも、ユニット機能を楽しんで頂けます(笑)。
―――その他にも、2015シリーズのポイントがありましたら、教えて下さい。
廣瀬 2015シリーズでは、「白鳥の湖」「白雪姫」などの物語をテーマにした「ロマンスドレス」が登場します。自分のキャラクターのドレスの選択だけではなく、ユニットメンバーのドレスとの組み合わせによっても、スペシャルアピール(高得点を出せる技)が発動します。
―――なるほど。どんなドレスを着たアイドルとユニットを組むかは、戦術の一部にもなってるわけですね。
廣瀬 はい。例えば、ユニットメンバー全員のドレスを「白鳥の湖」のロマンスドレスで揃えると、「スワンダンス」という「白鳥の湖」のオリジナルユニットアピールが出せます。
「アイカツおじさん」にも機能を楽しんで頂けます「データカードダス アイカツ!」プロデューサー対談 2

メインターゲットの女児にも新しい楽しみ方を提案したい。

―――2015シリーズのコラボパートナーを、「1000年に1人の美少女」「天使すぎるアイドル」と話題の橋本環奈(Rev.from DVL)が務めることも話題になっていますね。橋本さんを起用した狙いは?
「アイカツおじさん」にも機能を楽しんで頂けます「データカードダス アイカツ!」プロデューサー対談 2

廣瀬 今シーズンの「アイカツ!」は、あかりちゃんたちが先輩のいちごちゃんたちのようなトップアイドルを目指していく展開になります。橋本さんも、福岡を中心に活動してきて、これから全国制覇を目指していこうというアイドル。そういう点がコンセプトと非常に重なるんです。
―――当然、これまでのコラボパートナーと同じく、ゲームの中にライバルとして登場するわけですよね。
廣瀬 それはもちろん。さらに今回は、環奈ちゃんに挑戦するだけではなく、一緒にユニットを組むこともできます。あとは、2015シリーズの新要素として、「アイカツフォンスマート」もパワーアップして、「アイカツフォンルック」(2014年10月11日発売予定)になります。
―――「アイカツフォン」は携帯電話のようなオモチャですよね。
原田 「アイカツフォンルック」は、筐体のICカードを置くところにセットしてプレーをすると、プレーし終わった後、マイキャラのオーディションでのベストショットがそこに届くんです。
―――それはすばらしいですね! プレー画面を保存したくても、僕のように一人でプレーしてると写メったりできないんですよね(笑)。
廣瀬 これまでもユーザーの方々は、画面写真を撮ってSNSにアップして下さったりしていたので。
―――これも、3年目だからこそ実現した、ユーザーの希望の現実化ですね。
原田 そうなんです。
―――2015シリーズは本当にいろいろな変化やパワーアップのあるシーズンになりそうですが、これから先にも、また新たな発表があったりするのでしょうか?
廣瀬 まだ言えないことばかりで具体的なお話をするのは難しいのですが(笑)。当然、ユーザーの皆さんの想像の斜め上を行くようなことをやっていきたいと思っています。
原田 やりたいことはいっぱいあります。
―――その中から、優先順位を考えながら、実現している形ですか?
廣瀬 はい。中でも、まずはメインターゲットである女児に向けてということを大事にしています。もちろん、ハイターゲット向けのものがあっても良いと思うのですが。メインのユーザーの遊びを阻害しないようにとは、常に考えています。
原田 ただ、メインターゲットに向けてということだけ考えていると、稼働してすぐの頃のように、ふんわりとしたものになってしまう可能性もあるんですね。だから、メインターゲットに新しい楽しみ方も提案して、その定義を広げていくというチャレンジもしていきたいです。例えば3年前に「女児向けにガチな難易度のゲームを作るんです」と言ったら、絶対に周りからは「それで良いの?」と言われたと思うので。どんなチャレンジをしていくか、期待して頂ければと思います。
―――ユリカ様のキャラクター設定なども、まさにそうだったわけですね。
原田 はい。世の中の流行っているものは、絶対に何か良い面があるから流行っているはずなんです。それをどう翻訳して、メインユーザーである女児にプレゼンしていくかが重要。まだ、仮説レベルのものでも、新しくやりたいことはいくつかあります。

ユーザーの皆さんにどんどん恩返しをしていきたい。

―――お話を伺っていると、「アイカツ!」について考えることが非常に楽しそうで。このコンテンツ自体がお二人のイマジネーションをすごく刺激するものになっているのだなろうなと感じました。
廣瀬 辛いこともありますけど……(笑)。やっぱり楽しいです。最初にお話したゲームの難易度のように、女児に対しては固定観念のようなものが固まっていることもわりと多いんですね。そこに対しては、「いやいや、もっといろんなものがたくさんありますよ」という形で、女児に受け入れてもらえる新しいものをさらに提案しながら展開していきたい。そこは常にチャレンジだなと思ってます。
原田 「アイカツ!」が面白いのは、関わっているスタッフ全員のコラボレーションというか、みんなで作っているからなんですよ。厳密に言えば、「原作」とか「原案」とかいろいろ分かれてはいるんですけど。自分は関わっているみんなが広義の意味での「原作」だと思っているので。例えば、ニンテンドー3DSのソフトの開発チームも「アイカツ!」の世界の中で、新しくて面白いことを考えてくるんですよ。それに対して「いや、そんな設定はないから」と言うのではなく。面白いアイデアだったら、アニメチームも我々も「面白い」という言うんですよね。それで、その設定がアニメやデータカードダスにも反映されたりする。そういう風に関わっているみんなで、グルグルとクリエイティブを重ねているんです。
―――誰かが面白いことを考えると、悔しがりながら新しいことを考える感じですか(笑)。
原田 そうです、そうです。「ちくしょー面白いじゃん!」って言いながら、我々も徹夜して、それをゲームに実装したりする(笑)。たぶん、そういう関係が良いのだと思います。
廣瀬 みんなが面白い物を考えようとしていて、面白いアイデアはしっかり拾っていくという体制は、本当にできていると思います。
―――10月になって2015シリーズが稼働したら、お二人もこっそり様子を見に行ったりするのですか?
廣瀬 それは新シリーズが出たときだけではなくて。ほぼ毎週行ってます。堂々と並んでいますよ(笑)。
―――プレーもされてるのですか?
廣瀬 はい。ユーザーの中に混じってプレーしないと分からないこともあるので。
―――じゃあ、仲間ですね(笑)。
廣瀬 ははは。自分もヘビーユーザーということになりますかね(笑)。
―――では、最後にお伺いしたいのですが、3年目の「アイカツ!」はどんな年にしていきたいですか?
廣瀬 2年間で「アイカツ!」も成熟してきましたが、ここで一度、原点回帰をして、またフレッシュな形もお見せしていきたい。そして、色々なスパイスも加えながら、常にユーザーの皆さんの想像の上を行き続け、どんどん進化を続けていかなくてはと思っています。
原田 (文字の書かれた紙を出しながら)私はこういったものを用意してきました。
「アイカツおじさん」にも機能を楽しんで頂けます「データカードダス アイカツ!」プロデューサー対談 2

―――「反哺之孝」ですか? どのような意味が?
原田 中国の故事で、雛鳥も、大きくなったら親鳥にエサを渡すくらい恩という物を理解している、という意味です。いわんや我々もということで(笑)。今までご愛顧して頂いた分、ユーザーの皆さんにどれだけお返していくことができるか、という気持ちでいます。それは、これからもずっと続いていく。そのキーとなる3年目だと思っています。
―――正直、筐体のネット機能強化って、かなりコストのかかるパワーアップですよね。
廣瀬 たくさんのユーザーの方に支えていただけたからこそ、実現した進化です。こういう流れをこれからも続けていきたいと思っています。
原田 ユーザーの皆さんには、本当に感謝をしているんです。正直、昔はここまでの気持ちには、なかなかなれませんでした。これもまた、大人の「アイドルカツドウ!」の成果なんでしょうね!(笑)
(丸本大輔)

新ユニット「AIKATSU☆STARS!」も結成!

8月9日(土)の「ちゃおサマーフェスティバル」内で開催された「アイカツ! 真夏のLIVE&大発表ステージ」でも、2015シーズンの情報を次々と紹介。10月2日(木)からのアニメ「アイカツ!」の新展開についても紹介映像が上映された。また、1年目から「アイカツ!」の曲を歌ってきたユニット「STAR☆ANIS」に加え、新ユニット「AIKATSU☆STARS!」も初お披露目。新曲の「Let's アイカツ!」を披露した。さらに、2015シリーズのスペシャルコラボパートナー橋本環奈も登場。トップを目指して一生懸命アイドル活動することを宣言し、「24時間アイドル宣言書」にも署名した。
「アイカツおじさん」にも機能を楽しんで頂けます「データカードダス アイカツ!」プロデューサー対談 2

(C)SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO