以前、ある放送作家から「ネタっていうのは“名刺”代わりで、面白いのは当たり前。知ってもらった後からが本当の勝負」と聞かされたことがあります。

う~ん、「我が意を得たり」かも。テレビ観る側も、ネタ自体をそこまで参考にしてない現状が、もはやあり。「俺はネタで上がってきた人間じゃない」と頻繁に口にする有吉弘行氏からはコンプレックスが窺えるものの、何やかんやで人の印象点に最も作用するのは“トーク力”なのかもしれません。
とは言え、世に出るために最も重視すべきは、やはり「ネタ」なわけで。いや、まさに芸人の世界は“ゴールのないマラソン”だな……。

昨日開催された『キングオブコント2014』、取材へ行ってまいりました。
笑いを競技化する風潮も一段落したかと思いきや、まだまだこのイベントは健在。それどころか「M-1グランプリ」も復活するそうだし。
オープニングで現れたのは、前回覇者「かもめんたる」。「俺らはコントは面白いんですよ!」なんて叫び、“ゴールのないマラソン”を再確認させられましたよ。過酷過ぎて、正気の沙汰じゃない世界だよな……。

というわけで総勢10組が出場した決勝大会、内容と結果は昨日生中継された通りです。
皆さんの中でも、色々あるでしょう。「妥当な結果に落ち着いた」という声もあれば「アイツらの方が面白かった!」という声もあり。それらを含めての賞レースなのですが、「なかなか今年はレベルが高いですねぇ」という松本人志のセリフはちょっと耳に残ったかも。

そんなこんなで、今年度の王者には「シソンヌ」が輝きました。前回、前々回と比較したら、既に知名度を獲得済みのコンビが優勝している?
実は彼ら、HKT48・指原莉乃と親交があり、彼女との競演を契機に知名度をアップさせたという経緯があります。もちろん、それ以前からコント師としての評価も確立していた実力派。


じゃあ、彼らの優勝コメント行きましょう。
長谷川 すごく嬉しいです。ただ実感もないですし、この後、優勝より難しくてもっと恐い“イバラの道”が待っているのをよく見てきてるんで、そっちの方で僕は悩んでしまいそうな……。
――結成から9年目ということで、ここまでの道のりは長かったですか?
長谷川 僕ら、年齢が行ってるんです。パンサーの向井と同期ですけど、7歳違うんですよ。特に僕なんか「早く売れないと年齢が……」と言ってたタイプなんで、今回優勝できなかったら厳しいなぁと。
東京03さんが獲った時も36歳だと聞いてたので、勝手なプレッシャーはありましたね。
じろう 僕は、全く何も……(笑)。(長谷川は)勝手にプレッシャー感じるんですよ。ネタは全部僕が一生懸命書いて作るんですけど、僕が知らないところでいつもプレッシャー感じてて。今日も、すっごい緊張してたもんねえ?
――ファイナリストが決まってからちょっと間がありましたけど、その間の心境はいかがでしたか?
じろう 決まった時は「これでもう優勝しちゃいそうだな」と思っていたし、時間が経ったら「1本目で負けちゃうんじゃないか」って。毎日、それの繰り返しだったんです。
途中で、考えたくなくなってましたね。
長谷川 一回、2人ともピタッと考えること止めた時期がありました。その話題を出さず、ネタ合わせも3日くらいわざとやんなかったです。一回、「離れよう」と。
――最近はドラマ等、色んなステージに立たれていると思うんですけど、これからどのステージで活躍していきたいですか?
長谷川 やっぱり2人共コントが好きですし、お芝居も好きなので、映画とかドラマ呼んでいただけるなら何でもやりたいですし。バラエティももちろん呼んでいただけるんでしたら微力ですけども、頑張って全力で務めさせていただきます。

じろう バラエティの方は難しいと思ってる……?
長谷川 いやいや、映画とドラマを簡単と言ってるわけじゃないんだけど! バラエティは、何人か “躯”として帰ってきてるのをたくさん見てるんで。見送ったんだけど。
じろう 僕は一個野望がありまして、「女性として映画に出る」っていう。今日の2本目のネタを見た物好きな監督さんから女優としてオファーをいただけたら。……全然、そういう性癖とかないですよ! 四十路のおばさん役探してる監督さんいたら、その辺の女優さんにやらせるより僕の方が。
――今日、指原さんがずっとシソンヌさんを応援するツイートをされていました。
じろう おお、嬉しい!
長谷川 でも結局、指原かぁ。なんか、アイツを超えられない感じだなあ(笑)。ありがたいですけどねえ、僕らを有名にしてくれた部分もあるんで。
――優勝賞金1000万円の使い道は?
長谷川 僕も「巨匠」ほどではないですけど借金を抱えていまして、それでだいぶ無くなりますね……。あと、実家はお寿司屋さんをやってるんですけど「小屋みたいな建物だ」と言われるので、綺麗にして。残りはお世話になった方々に恩返しして、後輩にもご飯を食べさせてあげられたらいいなと思います。
じろう 僕、一本目のネタで演じたおじさんのまんまのダメな奴で。パチンコとか本当に好きで。そんな仲間が、芸人にいっぱいいるんですよ。給料日が来たらみんなでパチンコしに行き、一文無しになって帰ってくるという仲間から「今日もし優勝したら、好きなだけ打たしてくれ!」という連絡がたくさん来てました。いっぱい連れてって好きなだけ打たしてやろうと思います!
長谷川 パチンコ業界ばっか盛り上げんなよ。
――その“仲間”には、誰がいるんですか?
じろう 全然無名の、クズの先輩が(笑)。
長谷川 ウィキペディアすら存在しないような(笑)。
――ちなみに、今のお給料は?
長谷川 僕、先月は13万円でした。震え上がって、会社の方に「前借りできないですか?」ってお願いしたんですけど「できません」って。パンサーの向井君にも2万円借りたままだし。マネージャーにも1万円借りてるんです。
じろう 僕の給料は20万円でした。
長谷川 格差あるなあ。あと僕、会社に借金しているんで、毎月2万円引かれるんです。
じろう 俺も引かれてるよ。
長谷川 それでかよ! 7万も差あるよ。

“イバラの道”は長く険しいですが、若手芸人にとって「賞金」がまずは嬉しいですよね。
(寺西ジャジューカ)