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映画「バケモノの子」は細田守から宮崎駿へのメッセージ? 「アニメの世界は大丈夫です」

2015年7月17日 21時00分
『時をかける少女』『サマーウォーズ』などを手掛けた細田守監督による3年ぶりのアニメーション映画『バケモノの子』が公開。前作の『おおかみこどもの雨と雪』を上回るペースで興行収入を伸ばしている。そんな同作をライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんが、過去の細田作品と比較しながら鋭く分析します。

細田守まで邦画によくある「大事なことをせりふでしゃべらせすぎ病」に


(左)飯田一史さん(右)藤田直哉さん

藤田 ぼくは、今回の細田守監督には、文句ナシです! 前作は「違う?」と思ったけど、今回はパーフェクトです。

飯田 え、そうなんだ! 後半の畳みかけ方はさすがだったけど、ちょっと説教くさくない? あと、大事なことをせりふで言いすぎじゃない? たとえばヒロインの楓が主人公の九太とだんだん仲良くなったあとに「誰かに初めて本音が言えた。うーすっきりした!」とか言うところ。あれは言っちゃだめじゃね?

藤田 同じ個所でひっかかりましたが、「あ、ここでこれを言ってしまう人物・感情なんだな」とぼくは受け取りました。セリフで説明してしまうというのは、邦画全般の傾向だそうですね。背中で語るとか、構図で情緒を出すとかが、読み取られにくくなっているんでしょうね、お客さん全体の傾向として。

飯田 いやでも『サマーウォーズ』で栄ばあちゃんが死んだあとで縁側に座るカットなんて、まさに背中で語っていたわけじゃないですか。今回、細田さんは初めて脚本も全部ひとりでやったわけですけど、やはり『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』で組んできた奥寺佐渡子は必要だったんじゃないかと。

脚本は過去作と比べるといびつになっている。だがそれがいい!


藤田 脚本は明らかに、いびつになっていると思うんですよ。でも、そこが、ぼくは『バケモノの子』に満足した理由でもあるんです。『サマーウォーズ』から、物語がしっかりした構造すぎた。

 しかし、今回は、変なんですよ。九太が渋谷から迷い込んだバケモノワールドから帰って来て、楓とやりとりする現実パートなんかが、特に。図書館でメルヴィルの小説『白鯨』を読んだりしたあと、最後に彼が戦うことになる「クジラ」周りもよくわからない。

 が、渋谷で活劇やりたい感、怪獣(クジラですけど)が渋谷を襲った感で、ぼくは全部許しますね。
 バケモノワールドでは、事態を収拾してくれる神様的存在、いわゆるデウス・エクス・マキナとしての宗師さまが機能するんですけど、現実世界にはそれに該当する存在がないから、「なんでクジラなのか?」とかいろんなところに唐突感が出てるんですよね。
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