朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月26日(土)放送。第13週「東京物語」第78話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
五代は新次郎に完敗で後半戦へ「あさが来た」78話
イラスト/小西りえこ

78話はこんな話


盟友・大久保利通(柏原収史)が暗殺され、大きなダメージを受けた五代(ディーン・フジオカ)を、あさ(波瑠)はあくまで」「友」として慰めると、夫と子供の待つ大阪へと戻っていく。東京での出会いに感謝しながら。

五代の存在


「でも君は一番出会うべきひとにもう出会っている」
屈託なく眠っているあさに向かってつぶやく五代が切ない。
五代のことを何も知らないから教えて、というあさ。いよいよ結婚してるのかしてないかわかるのか! と思いきや、その話はなく、上記の台詞があるということは、独身設定なのだろう。どこまで引っ張るんだろう、この謎。引っ張ってる気もないのだろうか。

あさはあくまでも男と女を超えた友人として接しているものの、五代はあさに友情以上の好意をもっているように描れる。ここが惜しい! 五代を東幹久に代表されるかませ犬キャラほどにはしていないけれど、結局、恋のライバルキャラふう。もしも、彼もあさに友情しかもっていなかったら、男と女が接近したら必ずラブストーリーではない新しい男女のドラマの可能性が開けたのではないだろうか。
とはいえ、このほのかなジリジリ感(新次郎〈玉木宏〉と亀助〈三宅弘城〉のジリジリに関する会話が良かった)が「あさが来た」の人気の要因になっていることは否めないので、視聴率的にはこの道を選んで良かったのだろう。実際、ジリジリ感が楽しいのだもの。
結局「あさが来た」は“一番出会うべきひとにもう出会っている”あさと、出会うべくひとである新次郎の物語なのだ、と強調し、亡き大久保に献杯した五代は、新次郎に完敗で、新年から後半戦へーー。

これからは、色恋よりも、御商売(銀行経営)と教育へとテーマが本格化しそうだ。

そうそう、うめ(友近)はあさを置いてひとり帰ることはせず、後から追いかけてきていた。ドラマのタイミングをはかるのがうまい、名女中である。
(木俣冬)

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