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今夜最終回「ちかえもん」優香の“じじい転がし”はあの人仕込みか

2016年3月3日 09時50分 ライター情報:近藤正高
しかも、喜里の帰郷の理由は病気で近松の迷惑にならないようにと気遣ってであり、徳兵衛(小池徹平)は黒田屋に身請けされることになった天満屋のお初(早見あかり)が病気だと謀られて、平野屋の蔵から朝鮮人参を持ち出すという具合に、みな「病気」を軸に事が進展していた。もちろん近松が風邪のどさくさにまぎれてプロポーズしたのもしかりである。

そもそも黒田屋がお初を身請けしたのも、徳兵衛をだまして朝鮮人参を持って来るよう仕向けたのも、平野屋が有する朝鮮人参の闇取引にかかわるすべてを、自分が共謀者たる奉行とともにそっくり奪い取るためであった。

あほぼんの徳兵衛はそんなことはつゆ知らず、お初を思うがあまり黒田屋と約束を交わし、父・忠右衛門(岸部一徳)秘蔵の朝鮮人参をひと箱持ち出す。だが、それを持参された黒田屋は手の平を返したようにすっとぼけ、御禁制の朝鮮人参を自分に渡してどうするつもりだったのかと衆目のなかで徳兵衛をののしる。そのうえ黒田屋は約束した際に自分の書いた証文を、徳兵衛が偽造したものと言い出した。「謀ったな」と徳兵衛が気づいたときにはすでに遅し。彼は黒田屋の手下どもから殴る蹴るの狼藉を受ける。それだけならまだしも、この一件で自分が捕まり罪を負えば、徳兵衛どころか平野屋が信用を失い、店そのものをつぶしかねない。

傷だらけになった徳兵衛、ちょうど母を越前へと見送った近松と万吉(青木崇高)の前に現れ、最後に一目だけお初に会いたいと頼みこむ。万吉がそれに応じて、徳兵衛をこっそり天満屋まで連れて行き、桜舞い散る庭でお初と引き合わせる。ここで徳兵衛はお初に今生の別れを告げ、彼女を万吉に託すも、お初はいやがる。この世で一緒になれなかったことを悔やむ二人を見るに見かね、万吉はこう叫ぶのだった。「今生があかなんだら、あの世で一緒にならんかい!」――

徳兵衛とお初、こうして心中することを決め、曾根崎の森へと入る。いよいよお待ちかねのクライマックス、心中を受けて劇中の近松たちはどんな反応を見せるのか。物語は今夜放送の最終回へと続く!!

『曾根崎心中』を換骨奪胎


徳兵衛とお初はこれまでにも書いてきたとおり、近松が現実の事件に取材した人形浄瑠璃『曾根崎心中』の主人公だ。また黒田屋九平次は同作でも悪役として登場する。ただし、ドラマでは『曾根崎心中』から人物設定などを微妙に変えてあるのだが。

徳兵衛は『曾根崎心中』では平野屋の息子ではなく甥で、平野屋忠右衛門は妻の姪と彼を結婚させて店を継がせようと、徳兵衛の継母に二貫目の持参金まで渡していた。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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