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春風亭昇太は100年にひとりの「笑点」司会者になるか

2016年5月23日 10時00分 ライター情報:近藤正高
「笑点」の公開収録はかつて一回だけ、後楽園ホールへ観に行ったことがある。2000年だから、先代の三遊亭圓楽が司会だったころだ。大喜利のコーナーにもまだ林家こん平が元気に出演し、林家木久扇も木久蔵を名乗っていた。その後大喜利のレギュラーとなる春風亭昇太はたしかこのとき、若手大喜利のコーナーに出ていたのではなかったか(林家木久扇の息子で、いまは木久蔵を襲名している林家きくおが出ていたことは間違いない)。ついでにいえば、観覧したのは6月17日である。日記もつけていないのになぜ断定できるかというと、香淳皇后の亡くなった翌日だったからだ。このとき演芸コーナーに出演していた大木こだま・ひびきの持ちギャグ「往生しまっせ~」は時節柄大丈夫だったのかと、一緒に行った落語好きの友人(そもそも観覧に応募したのは彼)と与太話をしたのを覚えている。

まあ、16年前に公録を観覧したときは、まさか昇太がこの番組の司会になるとは夢にも思わなかったわけですが。あらためて調べたら、どうやら昇太は若手大喜利に出ていたどころか、司会を務めていたという。まったくもって自分の記憶力のなさにあきれてしまう。
イラスト/小西りえこ

昇太に願うは、師匠・春風亭柳昇の境地


というわけで、すでに周知のとおり、きのう5月22日放送の「笑点」にて司会の桂歌丸が自分の後任に春風亭昇太を指名した。私としてはその決定にちょっと意外と驚きながら、それでいてすぐストンと腑に落ちた。いや、きのうあれだけサプライズを期待する記事を書いたから負け惜しみを言っているのではない。これが巷間での噂どおり圓楽を指名ということになっていたら、ある種の「政治」というか、出来レースっぽい印象を受けたような気もする。

きのうの記事では、最後に「新司会者の人選を見ることで、制作側がこの番組の将来をどう考えているかがあきらかになることは間違いない」と書いた。放送後の会見ではまるでこれに答えるかのように、番組プロデューサーが「フラットに番組を100年続けていくためには、大喜利はチームワークなので、外部の方に来ていただくことは早い段階でやめた」と明言し、「回答者の中から、ひとりずつシミュレーションしていき、2月頃に昇太師匠に決めた」ことを打ち明けたという(「ORICON STYLE」2016年5月22日付)。「100年続けていく」心意気とは、昨今どこを見ても縮小気味のテレビ界にあってじつに頼もしい。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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