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「真田丸」最後の最後であの名演、本多正信。近藤正臣の大河ドラマ人生

2016年12月24日 10時00分 ライター情報:近藤正高
《僕、真田側やないのが悔しいてね。僕は少年時代に「真田十勇士」に憧れて、霧隠才蔵をやりたかったんやけど、そんな者は出てきませんから》(「週刊朝日」2016年3月4日号)

先日とうとう終わってしまった(きょう午後1時5分から総合テレビで再放送があるが)NHK大河ドラマ「真田丸」について、そんなふうに対談で語っていたのは、同作で徳川家康の重臣・本多正信を演じた近藤正臣である。関西は京都・清水(きよみず)で生まれ育った近藤からしてみれば、何を好んで自分が東の徳川方の人間を演じなければならないかという思いがどこかにあったのかもしれない。

だが、ふたを開けてみれば、本多正信は信繁(堺雅人)ら真田一族の敵役として最後まで存在感を示し、あげく最終回、信繁が死んだあとのラストシーン、彼の兄・信之(大泉洋)を自分の領地へ案内すると国づくりの根本を教え、最後の最後で真田家の存続に手を貸すのだった。
映画史・時代劇研究家の春日太一による16人の名優へのインタビュー集『役者は一日にしてならず』(小学館)。近藤正臣も大河ドラマでの役づくりについてなど存分に語っている。「真田丸」ファンには草刈正雄のインタビューも必読

「真田丸」の作者・三谷幸喜は大の大河ドラマファンであり、小学生のとき最初に全編通して見た大河「国盗り物語」(1973年)で明智光秀を演じた近藤正臣に強い印象を受けたと折に触れて語っている。また、本多正信についても、自分のいちばん好きな軍師としてかねがねあげてきた。

大好きな大河ドラマで、自分にとって思い出深い俳優が、自分のいちばん好きな軍師を演じる。脚本家冥利につきるとはまさにこのことだろう。それどころか、近藤正臣によって本多正信という役が成長したとも、最終回を前に三谷は語っていた。

《本多正信は、僕の好きな武将ですが、近藤さんが演じられることですごく人間味、深みが出てきて、近藤さんのせりふを書くのが楽しくてしょうがなかったんですよ。どんどんイメージが膨らんでいきました。/正信は悪いイメージもありますが、吉良上野介のように、実はそういう人ほど地元では真逆の評価をされていることがよくあります。もしかしたら彼の領主としての姿勢が、どこかで真田信之に影響を与えて、その信之が後に信濃松代藩の礎を築いていく…というふうにつながるのではないかと思い付いて、最終回にあるシーンを盛り込みました》「ザテレビジョン」2016年12月17日配信

それがあのラストシーンだったというわけである。脚本家のイマジネーションを刺激しながら、本多正信という役を見事につくりあげた近藤正臣は、大河ドラマに「国盗り物語」や「真田丸」を含めこれまで計10作出演し、いずれの作品でも印象に残る演技を見せている。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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