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「昭和元禄落語心中」第2期平成名物TVヨタローの時代だよ

2017年1月13日 10時00分 ライター情報:杉江松恋
「二ツ目になるまではうちで面倒見てやらァ。それまでにアタシのと助六の落語も叩き込む。全部覚えろ」
「そいからアタシはね。助六と約束して果たせなかった事がある。『二人で落語の生き延びる道を作ろう』ってね。どっちが一人欠けたってできねぇ事なんだ。だからこの穴埋めておくれ。それがふたぁつ」
「ら、らくご覚えんのはいいけどよぉ…そんなでけえ約束…できんのかな」
「できねぇ時? そん時ゃ諸共心中だよ」
「あとひとっつは?」
「絶対にアタシより先に死なねぇ事。いいね、約束だよ」

『昭和元禄落語心中』再開!


八代目有楽亭八雲に弟子入りした与太郎は、しくじりにより破門されかかるところを上記の3つの約束を守るという条件で許された。助六とは八雲が若かりしころ、共に落語興隆の夢を見た盟友だったが夭折し、後には忘れ形見の一人娘・小夏だけが残された。
与太郎は師と小夏、そして会ったことのない助六をも含めて絆で結ばれた家族になることを夢見、真打昇進に当たって助六を襲名することを八雲に懇願する。

雲田はるこ原作アニメ『昭和元禄落語心中』の第2部「助六再び編」は、2015年に放映された第1部から10数年後の物語だ。第1部では師である八雲と助六の青春期が中心に描かれた。時代は第二次世界大戦前夜から敗戦後、実際の演芸史においても落語が昭和の全盛期を迎えたあたりである。それから時が経った第2部は昭和は昭和でもバブル経済期と見ていいだろう。いや、背景に映画『ゴースト ニューヨークの幻』のポスターが貼られているのを確認したから1990年、昭和ではなくて平成に入ってからの物語である。原作では、5巻後半にあたる部分だ。

「笑点」司会者もまだ若手だった


1990年ごろの現実の落語界はどうなっていたか。
それを理解するのにもっともいいのが深夜番組である。土曜日深夜に放送されていた「平成名物TVヨタロー」が始まったのがこの年なのだ。松尾貴史・早坂あきよがMCを務めたバラエティー番組で落語家が出演するが着物は着させない、落語家としても振る舞わせないという画期的な内容だった。
当時の出演者は落語協会(チーム名は落協エシャレッツ)から三遊亭窓里・五明楼玉の輔・橘家文蔵、落語芸術協会(芸協ルネッサンス)から春風亭昇太、春風亭柳橋・春風亭柳好、五代目円楽一門会(円楽ヤングバンブーズ)から三遊亭愛楽・三遊亭好太郎・三遊亭楽春、落語立川流(立川ボーイズ)から朝寝坊のらく(廃業。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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