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子供番組と落語家「昭和元禄落語心中 助六再び編」4話

2017年2月3日 10時00分 ライター情報:杉江松恋
「あのさあおじちゃん? 今日もボクじゃましないでおりこうに見てるから、高座見てってもいーい?」
「あのさァ、これ食べていい? 父ちゃんの給料(ワリ)から引いといてね」
「おじちゃん、見えないからだっこして〜」

最強の甘えん坊・信之助登場


雲田はるこ原作アニメ『昭和元禄落語心中 助六再び編』第4話は、三代目有楽亭助六と小夏の息子・信之助が中心となるエピソードだった。厳格かつ偏屈な師匠・有楽亭八雲も、信之助にだけは厳しくすることができない。子供に頬ずりする八雲なんて、誰が想像できただろうか。万人をデレさせる可愛い悪魔ぶりを見せつけたのがAパートだった。
Bパートでは助六と小夏が、その信之助の幼稚園で開催された落語会に出演する。ここでは子供に絶大な人気のある噺「寿限無」を通じ、父・二代目助六から薫陶を受け、本当は誰よりも落語好きであったはずの小夏の芸についての思いが描かれることになる。子供を軸としてすべてが展開した回だった。原作では7巻前半に相当する部分だ。

にほんごであそぼ


寿限無寿限無五劫の擦り切れ、で始まる謎の呪文を全国に広めたのが、NHK教育テレビ(Eテレ)で現在も放送中の子供向け番組「にほんごであそぼ」である。2003年の開始からしばらくの間レギュラー出演していたのが、5代目柳家小さんの実の孫である落語界のプリンス、柳家花緑だった。「にほんごであそぼ」には他にも講談界から3代目神田山陽、狂言界から2世野村萬斎らが出演し、古典芸能独自の言い回しなどを披露して日本語に対する関心を掻き立てる役を担っていた。いくつかあった定番フレーズのうちの1つが寿限無だったのである。あっという間に子供たちの間に広まり、学校寄席に行くと持ちネタにない噺なのに寿限無をやらされる、と落語家がぼやく事態となった。
アニメでは助六が子供番組に出演中している場面が数秒だけ出てきた。原作でも1カットだけ描かれており、手書き文字で台詞が「らくごであそぼーっ」と記されている。実はこれ、雲田が「にほんごであそぼ」から思いついたものなのだとか。後述する雲田と花緑の対談で確認できた。

Eテレの落語家


人気落語家がNHKの子供番組にレギュラー出演した例は意外と多い。あの立川談志も、1964年から67年にかけてNHK「まんが学校」の司会を務めている。ただしこれは教育テレビではなく総合の方で、新真打として人気が急上昇していた談志の看板を当て込んだものだろう。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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