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今夜放送「LEADERS リーダーズ II」モデルはトヨタ自動車、モデルとなった男たちも熱い

2017年3月26日 10時00分 ライター情報:近藤正高
今夜9時よりTBS系でスペシャルドラマ「LEADERS II」が放送される。3年前に放送された「LEADERS リーダーズ」の続編だ。前回より引き続き、佐藤浩市演じるアイチ自動車創業者・愛知佐一郎を主人公に、日本における自動車産業の草創期が描かれる。ただし、今回は自動車開発よりも、主に販売にスポットが当てられるという。その中心的役割を担うのは、内野聖陽演じる「山崎亘(わたる)」という人物だ。
ドラマ「LEADERS」で佐藤浩市演じる主人公のモデルとなった豊田喜一郎。その伝記としては、木本正次『豊田喜一郎――夜明けへの挑戦』などがある

佐藤浩市演じる愛知佐一郎のモデルは、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎(何しろドラマにはトヨタが全面協力している)。これに対し、内野演じる山崎亘にもちゃんとモデルがいる。トヨタのお膝元・愛知県でトヨタ車の販売を担う愛知トヨタの初代社長、山口昇その人である。今回、劇中には山崎亘が支配人として勤める自動車販売店として「日の出モータース」という会社が出てくるが、山口昇はまったく同じ名前の会社でやはり支配人を務めていた。

中等学校野球のエースが夜逃げするまで


山口昇は、愛知県碧海郡新川町(現在の碧南市)の出身。ちなみに碧海郡は、昨年の大河ドラマ「真田丸」で内野聖陽の演じた徳川家康の生地・旧三河国に属する。

山口は地元の高等小学校を1910(明治43)年に卒業すると、上京して慶應義塾の事務員をしながら同義塾の夜間商業に入学、さらに1913(大正2)年の春には慶應商工本科1年に転入学している。年齢的にはいまの高校生に相当する。在学中は、慶應義塾普通部の野球部で活躍した。1916年に大阪・豊中球場で開催された第2回全国中等学校野球大会には主将にしてエースとして出場し、優勝に導いている。翌年には慶應義塾大学予科に入学したものの、実業団の台湾製糖にスカウトされ、軍隊に入るまで1年ほど、当時日本の植民地だった台湾に渡っている。いまからちょうど100年前、1917年のことだ。

充実した青春時代をすごした山口だが、社会に出てからは紆余曲折を経験した。1922年に製糸工場を開業したものの、3年でつぶし、母と妻を連れて郷里を夜逃げ同然で横浜に移る。おりしも第一世界大戦後の軍需バブルの崩壊に、関東大震災が追い打ちをかけ、日本経済が低迷していた大正時代の末期だ。一方で、震災により鉄道が寸断されるなかで自動車の役割が注目され、各地の自動車販売店はにわかに活気づいていた。もっとも、この時期の販売店が取り扱っていたのは、もっぱら欧米からの輸入車だった。

「販売の神様」との出会い


山口が心機一転、自動車販売の世界に入ったのは、慶應野球部時代の先輩からの紹介で、1927(昭和2)年に名古屋の外国車販売店「ユタカ自動車」に転職したときだ。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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