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ゾンビ映画「ディストピア パンドラの少女」感染者だらけのロンドンの凄惨

2017年7月6日 10時00分 ライター情報:しげる
ツボを心得たイギリス製ゾンビ映画の佳作、それが『ディストピア パンドラの少女』である。

一捻りが効いたイギリス産ゾンビ映画最新作


映画は場所も時代もよくわからない地下施設から始まる。そこにはオレンジ色の囚人服のようなものを着せられた子供たちが監獄さながらの建造物の中に収監されていた。移動の際は拘束具付きの車椅子に乗せられ、手足と頭を固定されたまま従順に教育を受ける子供たち。しかし一度人間の匂いを嗅ぐと凶暴化、人体に噛み付こうとする。

子供たちの一人メラニーは、ある日施設の兵士たちによって監獄から連れ出され、別の棟にある実験施設に移送される。そこで初めて、メラニーは外の世界を目にする。外には思考能力を無くし生きた肉のみを求めてさまよう人々「ハングリーズ」が大量に歩き回り、メラニーたちが暮らしていたのはフェンスに囲まれた基地の中だった。メラニーら子供たちはハングリーズ化を引き起こす菌に感染したにも関わらず思考力を保つ、「二番目の子供たち(セカンド・チルドレン)」であり、基地では彼らからワクチンを作り出す実験が行われていたのだ。

メラニーがワクチン作りのための犠牲になる寸前でハングリーズの群れが侵入、基地は陥落してしまう。チルドレンたちの教師ヘレン、シビアな軍人であるパークス軍曹とその部下ギャラガー一等兵、ワクチンの研究者コールドウェル博士らはメラニーを連れて脱出に成功するが、それは別の基地を求めてさまよう旅の始まりでもあった。果たしてワクチン作りは成功するのか。メラニーらはどうなってしまうのか。

イギリスというのはツイストの効いたゾンビ映画を作る国で、感染拡大の間主人公がずっと昏睡していたというギミックの『28日後…』やその続編『28週後…』のシリーズ、ゾンビコメディの傑作『ショーン・オブ・ザ・デッド』、老人VSゾンビの『ロンドンゾンビ紀行』、古典文学ミーツゾンビの『高慢と偏見とゾンビ』など、ちょっと変わったゾンビ映画生産国として知られる。『ディストピア』もそれに連なる作品だ。

『ディストピア』の魅力は、まず第一に前半のセカンド・チルドレンたちに関する描写のシャープさだ。子供たちがオレンジ色の囚人服にクロックスを着せられ、拘束具にライフルを抱えた兵士たちの監視がつくという物々しさはインパクト抜群。コンクリ打ちっ放しの地下施設の寒々しさや貧相すぎる食事(おれは虫が苦手なのであそこが一番きつかったです)などダイレクトにつらさが伝わってくる描写で、観客に「なんでこの子たちがこんな目に……」という疑問を自然に抱かせる。

ライター情報

しげる

ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

URL:Twitter:@gerusea

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