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昭和ラブコメ時代劇「悦ちゃん」本日スタート、クールでおませな10歳少女が大活躍

2017年7月15日 10時00分 ライター情報:大山くまお
大好評のうちに幕を閉じた『みをつくし料理帖』(シーズン2待ってますよ!)に続き、本日からNHK「土曜時代ドラマ」枠で始まる新ドラマ『悦ちゃん』。なんと、時代劇かと思ったら、昭和初期を舞台にしたドラマを持ってきた!
原作

サニーデイ・サービスが夢中になった獅子文六


原作は獅子文六。戦前と戦後を挟んだヒットメイカーで、いかめしい名前に似合わないポップさが持ち味。大正時代にフランスに留学していたようなハイカラな人物だった。

代表作は『てんやわんや』。漫才コンビ、獅子てんや・瀬戸わんやの名前はここからとられた……って古いな。『コーヒーと恋愛』は曽我部恵一が惚れ込んで、サニーデイ・サービスで同名の曲をつくってしまった。てんやわんやからサニーデイ・サービスまで虜にするのが獅子文六なのだ。現在は『悦ちゃん』も含めてちくま文庫から再刊中なので、興味ある方はぜひ手にとってほしい。

『悦ちゃん』は獅子文六の初期の作品にあたる。舞台は昭和初期の東京。妻を亡くした売れない大衆作詞家の碌さん(ユースケ・サンタマリア)の再婚話をめぐって一人娘・10歳の悦ちゃん(平尾菜々花)が奔走するというお話。「明るくチャーミングなラブコメディ」とのこと。

碌さんの造形が面白い。原作から少し抜書してみよう。

「友人、先輩、親戚一同の間で、申し合わせたように、“碌さん”と呼ぶ。不思議に、これがピッタリする。かりに世の中に“碌さん面”というものが存在すれば、彼の顔なぞまさにそれだ。一口にいうと、盥(たらい)の水に映した日食みたいな顔である。元気はないが、善良な顔だ。好男子ではないが、好感が持てる顔だ。碌々として一生を送るかも知れないが、ロクでもない真似をするような顔ではない」

シャレが効いている。「元気はないが、善良な顔」ってユースケ・サンタマリアにぴったり。「碌々」とは「平凡で役に立たないさま」という意味だ。ちなみに10歳の悦ちゃんも父親のことを“碌さん”と呼ぶ。「戦前は父親が尊敬され……」なんて物言いは嘘っぱちだ。

悦ちゃんはもっと面白い。生意気で口が悪くておてんばでおませ。「テムプルちゃん好みの水玉のドレス」を着ていたりしながら、「デイトリッヒが子供の時には、こんな声を出したと思われるような声」で歌を歌う。

原作の冒頭、碌さん親子が亡くなった妻の墓参りをするシーンがある。悦ちゃんが「雨、雨、降れ降れ 母アさんが 蛇の目でお迎え嬉しいな」と歌いながら歩いて行く。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

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