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「やすらぎの郷」第18週。お涙ちょうだいでも単純な反戦でもない、軍に協力していた映画人たちのリアル

2017年8月7日 10時00分 ライター情報:北村ヂン
ジャニーズの若手グループにインタビューしに行ったら、マネージャーだけじゃなく、ジャニーさんやメリーさん、マッチ、ヒガシまでついてきた! 的な恐ろしさがある。

このように、ライターという立場から立木に感情移入して見ていると、千坂監督が軍に協力していたことを非難しようとか、姫と千坂監督のスキャンダラスな関係を暴いてやろうとか、そういうことではなく、事実関係をフラットに説明した上で当時のことを聞き出そうとしているんだろうな……と察することができる。

ただ、立木役であるきたろうの演技が妙に暗かったので、一般視聴者が「裏に何か隠しているうさんくさいライター」という雰囲気を感じてしまったのではないかとちょっと心配だ。

ライターなんてみんな陰気で粘着質なタイプで……あんな感じなんですよ!(偏見)

倉本聰の描く戦時中のリアルとは


これまでテレビ業界の黒歴史をふんだんにぶっ込んできた倉本聰だが、戦時中の映画人による国策協力というのはある意味、日本の黒歴史だ。

当時、作家や画家、映画人といったアーティストたちも、戦意高揚のために軍への協力を強いられていたというのはよく知られている話。実際に「戦争バンザイ」な映画が多数製作されていたようだ。

そういうご時世を考えると、千坂監督が軍に協力して戦場の記録フィルムを撮っていたというのも仕方のないことだろう。

ありがちなドラマだと、「実は千坂監督は反戦思想を持っていて……」みたいな話になるところだろうが、戦争に対してそういう紋切り型な描き方をしないのは、実際に戦時中を知る倉本聰ならではといったところだろうか。

当時の映画人はみんな、軍からの命令でイヤイヤ国策映画を撮っていた……と思いがちだが、戦時中から活躍していた映画監督・吉村公三郎の自伝『キネマの時代』によると、

「映画人の社会的地位の最も高かったのは、太平洋戦争の最中であったと私は思う」

「今日、テレビ・ドラマなどで戦争中の風俗が扱われると、決まって二人や三人の厭戦思想の持ち主が現れるが、ああいうのは全くの嘘で、あんな連中はいなかった」

というような記述がある。

菊村の口からも、

「平和になった今だからみんな戦争はイヤだって大声で言うけどさ、当時はみんな口が裂けてもそんなこと言えないムードだったしね」

と語らせているが、国策映画にいいも悪いもなく、国に協力するのが当たり前というのが当時のリアルだったのだろう。

さて、そんな千坂監督が撮っていた記録フィルムだが、戦場で日本兵が敵兵を銃剣でめった刺しにするシーンの合間に、なぜかプライベートで撮ったと思われる姫の映像がはさみ込まれていた。

ライター情報

北村ヂン

群馬県出身。ライター&イラストレーター。珍奇でバカでサブカルチャーなものが主な取材対象。「デイリーポータルZ」や「日刊サイゾー」などで執筆中。

URL:Twitter:@punxjk

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