今注目のアプリ、書籍をレビュー

5

「ひよっこ」118話。処理能力の早苗、構ってちゃんの由香、哀愁のヤスハル

2017年8月18日 08時30分 ライター情報:木俣冬
続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第20週「さて、問題です」第118回 8月17日(木)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:松木健祐
イラスト/小西りえこ

118話はこんな話


ふらっと現れた由香(島崎遥香)が、みね子(有村架純)を飲みに誘う。場所はお馴染み、バー月時計。

誰が情報を教えるか


“そんなことがあったとは私は知らなかった”みたいなナレーションは、現在ものすごい展開になってる昼ドラ「やすらぎの郷」(テレビ朝日)の常套句だが、別に倉本聰の専売特許ではなく(専売特許的なのは、「父さん」とか「母さん」とか呼びかけるナレーション)、「その時、私は知らなかった」「その時、思いもよらなかった」「知る由もなかった」はよく使われる手である。
実際問題、他人の事情なんてわからない。あとで、誰かから聞いて、へ〜、そんなことがあったのかと驚くものだ。
それをフィクションに仕立てる時、難しいのが、主人公目線とか第三者目線とか、視点を決めて描くため、主人公の知らない出来事をどう描くか。結局、前述の“後から聞いたけど、その時は知らなかった”という表現に頼りがち。
では、誰が、その情報を教えるか。
フィクションには、うまいこと情報を伝える役割をもった人物が設定される。
「ひよっこ」では、ヤスハル(古舘佑太郎)が、伝言係だ。
みね子の事情(島谷問題やお父さん問題)を、由香は、ヤスハルを介して知っている。

慣れた作家は、さりげなく、その役割を登場人物にさせるが、余裕のない作家だと、読者ないし観客に、この登場人物は伝言のためだけに存在しているではないかと感じさせてしまう。その点、岡田惠和は腕のいいシェフなので、ヤスハルを、たとえ伝言係とはいえ、美味しく見せる。
まず、「出ました、朝ドラ名物、立ち聞きですね」とナレーション(増田明美)に言わせ、さらに、あえて、とほほなキャラクターにして、みね子に「いい人なんだけど なんか腹立つヤスハル」とまで言わせてしまう。

話の本筋に関われない哀愁を背負わせた上で、ギターを弾かせる。しかも、なんともいえない瞳をした犬までつけて(これは演出の領域かもしれない)。こうすれば、ヤスハルから聞いた、という役割しか与えられてないにもかかわらず、なんとなく好感度が上がる。

作劇上、どうしても必要になるご都合主義への処理能力に長けた作家・岡田惠和と同じく、ドラマの中にも、処理能力の高い人物がいた。

ライター情報

木俣冬

『みんなの朝ドラ』5月17日発売。その他の著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』など。

URL:Twitter:@kamitonami

コメント 5

  • すず 通報

    女にしておくには、もったいないくらいサバサバした性格の早苗さん。一言一言が歯切れ良く、なんて男前なんでしょう!「体がトゲで、できてる」なんて自己分析までして面白い人だなぁ。

    23
  • backyard 通報

    8月18日放送の回想シーン、省吾の台詞で気がついたのだが、節子と世津子、名前の読みが同じなのは、今後のストーリーの展開にかかわる作家の作為があるのだろうか。

    9
  • ぎんじろう 通報

    みね子→島谷→竹内涼真→カホ子の彼氏の麦野くん→売れない画家→ぱるる(由香)の彼氏 という繋がりを感じたのは僕だけか?

    6
  • 匿名さん 通報

    眉毛、いいよね!

    5
  • 匿名さん 通報

    犬が可愛い。 ヤスハル君はこの後、この犬を飼うんでしょうか。

    3
コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!