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長瀬智也「ごめん、愛してる」5話。捨てられても虐待されても子は母を求めるもの

2017年8月20日 11時00分 ライター情報:大山くまお
長瀬智也主演、TBS日曜劇場『ごめん、愛してる』。余命わずかな男が、自分を捨てた母親の愛を求めて苦しみもがく物語だ。先週放送された第5話の視聴率はじわっと上がって9.4%。数字のとおり、見ごたえのある話だった。(サウンドトラック)
オリジナル・サウンドトラック

言葉と行動が矛盾している主人公


「俺の命は残り少ないそうだ。なので、一日一日を大切に、目標を持って生きることにした。一日一回はいいことをする。そして、家族とうまい飯を食う。家族ってのは、俺を産んだ女でも、孕ませた男でもねぇ。俺のそばにいる、俺が大事だと思っている人間だ」

突然、鼻血を出すなど、さまざまな症状が出始める律(長瀬智也)。自分を見つめ直し、自分の周囲の人たちと一緒にいる時間を大切にしようと考える。彼が言う家族というのは、「若菜、魚、それとボケチンだ」。音だけ聞くと『ギャートルズ』みたい。

しかし、律の言葉は、行動と矛盾している。言葉のとおりの考えなら、自分を捨てた生みの親である麗子(大竹しのぶ)への執着を断ち切り、サトル(坂口健太郎)の運転手としての仕事をこなしつつ、若菜(池脇千鶴)親子やボケチン……じゃなくて凜華(吉岡里帆)との毎日を楽しく過ごせばいい。
吉岡里帆フォトブック(仮)2017.9.15発売予定

それでも、律は麗子への執着を隠せない。視線は麗子を追い、麗子のピアノに聞き惚れる。

「子どもって、母親が恋しいんですよ。いくつになっても、たとえ自分を捨てた母親でもね。いつか会いたい、甘えたいって思いながら育つんです。律くんもそうだったんじゃないかしら」

律たちが育った養護施設の園長(草村礼子)が、訪ねてきた恒夫(中村梅雀)に語った言葉だ。律自身が語った言葉より、園長の言葉のほうが律自身の行動をよく言い当てている。

血をわけた家族よりも、自分の新しい居場所となる人たちの集まりのほうが大事だというテーマを持つドラマは昨今よく作られてきた。最近、顕著だったのは『カルテット』だ。一連の宮藤官九郎ドラマにもよくこのテーマは登場する。

しかし、子が自分を産んだ母親を求めてしまうのもまた事実であり、真実だ。子育てをしていてよく耳にするのが、どんなに母親が子どもを虐待していても、幼い子どもは最後まで母親を慕い、求め続ける、という話である。律も同じ。若菜たちのことは大切にしているが、やっぱり母親の存在を追い求めてしまう。これは人間の本能のようなものかもしれない。それにしても、園長の言葉は泣けたよ。

脇役たちが奏でる協奏曲


『ごめん、愛してる』は5話から「第2章」と銘打たれている。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

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