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今夜最終回『悦ちゃん 昭和駄目パパ物語』門脇麦の無表情演技が雄弁すぎる

2017年9月16日 11時00分 ライター情報:大山くまお
昭和のヒットメーカー、獅子文六原作の土曜時代ドラマ『悦ちゃん 昭和駄目パパ恋物語』も、いよいよ本日が最終回。昭和10年を舞台に、駄目パパとその娘の妻探し(ママ探し)というホンワカしたムードのお話だが、その軸には戦前の女性たちが「私の物語」を生きようとする、ちょっとヘビーなテーマがある。
画:つん(5歳)

炒り豆女子と毛布女子



先週放送された第7話は、主人公の売れない作詞家・碌さん(ユースケ・サンタマリア)と、碌さんの家にお手伝いさんとして来ていた元デパートガールの鏡子(門脇麦)が、ようやくお互いの気持ちに気づくというエピソード。

悦ちゃん(平尾菜々花)になつかれながら、通いのお手伝いさんをしているうちに、碌さんと徐々に気持ちを通わせる鏡子。部屋で思わず居眠りしてしまうのは、それだけ心を許している証拠だろう。毛布をかけてあげる碌さんが優しい。

碌さんもすっかり鏡子に惹かれていた。春奴(安藤玉恵)に語る「毛布のような人だ」というセリフがおかしい。

「布団のように押し付けがましくもなく、でも、ないと物足りねぇ。どうにも気になって、つい目で追っちまう」

このセリフを聞いて、土曜時代ドラマの前枠『みをつくし料理帖』で小松原(森山未來)が澪(黒木華)のことを「炒り豆のよう」と例えていたことを思い出した人も多いじゃないだろうか。あっちは炒り豆でこっちは毛布。どちらも庶民派だ。

碌さんが鏡子に惹かれるポイントになったのが、漬物をおいしそうに食べる、ぬかみそをかき回す、洗濯物畳みと、どれも非常に庶民的だったのだが、これは碌さんが大衆を相手にしている作詞家であることも関係しているだろう。

無表情にバリエーションがある門脇麦



しかし、鏡子は父親(西村まさ彦)が勝手に進める縁談をどうしても断りきれなかった。父親が自分の幸せをよく考えてくれているのはわかっていたし、戦前というのはそうやって父親が勝手に縁談を決めるような時代でもあった。財閥令嬢のカオル(石田ニコル)のような例外を除けば、若い娘が「自分の物語」を生きることなんてできなかったのだ。

ついに縁談を了承してしまう鏡子。大喜びをする父親を見つめる無表情ぶりがせつない。そもそも鏡子は普段から感情を抑えているので、無表情にも、楽しそうな無表情、悲しそうな無表情などのバリエーションがある。それを見事に演じ分ける門脇麦の表現力がすごい。でも、感情を抑えていたからこそ、なかなか碌さんとの距離が縮まらなかったんだよね……。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

コメント 2

  • 匿名さん 通報

    Exciteではドラマの感想がトップ記事になります。サーチナ、レコードチャイナなどの中韓礼賛記事はアクセスランク上位独占です。いいのか、Excite?

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  • 匿名さん 通報

    とてもいいドラマでした。こんなドラマがもっと観たいです。レビューも押しつけがましくなくてとても好きでした。朝ドラのレビューも書いて欲しいです。

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