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「植木等とのぼせもん」ほぼ実話か3話、まるでコントな谷啓の行動

2017年9月23日 10時00分 ライター情報:近藤正高
好評放送中のNHK総合の土曜ドラマ「植木等とのぼせもん」(夜8時15分~)。クレージーキャッツの植木等と、その付き人・松崎雅臣(のちの小松政夫)の師弟関係を描くドラマだが、先週、9月16日放送の第3回では、植木と同じくクレージーの谷啓、そしてリーダーのハナ肇との関係がクローズアップされた。
谷啓の生前最後のインタビューをまとめた『谷啓 笑いのツボ 人生のツボ』(小学館)。聞き手はワハハ本舗主宰の喰始。東京オリンピック当時の“奇行”についても語られている

第3話はこんな話……ハナ肇、植木等を叱る


時は東京オリンピックが開催された1964年10月。谷啓(浜野健太)が突然、クレージーキャッツをやめたいと植木等(山本耕史)に打ち明ける。「はっきり言やあマンネリだよ。僕らが飽きたら見てるほうだって飽きる。そうなったら終わりだ」と言うのだ。これに対し植木は「二人だけの話にしておこう」ととりなすも、付き人の松崎雅臣(志尊淳)は偶然それを立ち聞きしてしまい、動揺する。

谷のことを隠していた植木だが、ハナ肇(山内圭哉)はそれとなく気づいたのだろう。ハナから訊かれて、植木は知らぬふりを決め込む。が、当の植木も、自分が前面に出ていくことにためらいを覚えており、そのことをふいに漏らすと、ハナから「そういうこと、二度と言うんじゃねえ」と一喝されてしまう。

一方で谷の悩みは深まるばかりだった。映画撮影の休憩中には、オリンピックを伝える新聞を手にしながら「こんな薄暗いところでうじうじと、絵空事ばっかりやっていて、何になるというんだろうね」と、松崎にぼやく。

その後、メンバー間を相談してまわる松崎の姿を不審に思ったハナは、ついに谷のことを聞き出し、植木を呼び出す。車から松崎を外させ、話し合う二人。ハナは「俺たちは単なる友達じゃねえ。ただの仕事仲間でもねえ。戦友だよ、戦友! 何があっても隠し事やウソはなし。そのかわりお互い死ぬときは一緒だ」と、植木をいさめる。ハナには植木の水くささが許せなかったのだ。それは前回、松崎が母親を追い帰したのを、植木が諭したのと通じるものがあるだろう。谷については、ハナが「谷啓のことはな、俺が直接やつと話してみるよ」ということで、ハイ、それまでョということになる。

ハナが話をしたせいなのか、オリンピックが閉幕したせいなのか、谷啓は再びクレージーの面々に明るくふるまうようになる。スタジオに現れた彼は、持ちギャグの「ガチョーン」を披露して、みんなをずっこけさせるのだった。それにしても、谷を演じる浜野謙太は、目をしばたたかせたりして、本人によく似せていた。

谷啓がハナ肇にどのように説得されたのかは、ドラマでは描かれていなかった。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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