『おそ松さん』2期は基本グロあり路線ですか。いいですね。

6話は昔のアニメ『おそ松くん』みたいな、六つ子の外のキャラを巡る展開。
そして、六つ子の対人関係観がわかる回だ。
「おそ松さん」2期6話。ひとりぼっちは寂しいもんな「ちゃんと反省しないといつか一人になっちゃうぞ!」
おそ松さん 二期メインビジュアル(公式HPより)

六つ子の承認欲求


Aパート「イヤミがやって来た」 は、無一文のイヤミが松野家に乗り込んできて、つけこんだ挙句何もかもかっぱらって逃げる話。
ここ自体は、1期3話でおそ松たちがやった行動のリベンジに近いので、イヤミ自体が凶悪ってほどではない。
問題は、イヤミに褒められた途端なんでも許してしまった六つ子の精神状態だ。

六つ子は全員、承認欲求がすこぶる強い。
全員わがまま勝手なキャラに見えて、実は対外的には何一つ自信を持っていない、というのは前回5話の海のナンパ話で明らかになっている。


イヤミの褒め言葉で、彼らの承認欲求が満たされてしまった。
比較的社会的に認められているであろうトド松ですら「なぁイヤミ。ずっとここにいていいからね。いいんだって気にしないで。僕達に任せといてよ」と言うほど。

この他人からの評価のうけとり方は、Bパートの「友人」問題につながる。


いつか一人になってしまう


Bパート「ともだちがほしいじょー」は、ハタ坊が友達を探す話。
ハタ坊は1期では大金持ちとして描かれており、金の力で女を侍らせ続けていた。そんな彼は、友達という感覚がわからない。
六つ子にチビ太にデカパンにダヨーンにトト子、いつものメンバーが深夜0時になってまで集まって、彼の相談にのってくれている。
誰一人「友達が見つからない」というハタ坊を無下にしない。
おそ松たちに「バカだなーもう」と頭ぐしゃぐしゃされて、ハタ坊は笑顔になる、という幸せな展開。なおイヤミは死んだので、ここにはいません。


デカパン「少し不安になったのかもしれないダスな」ダヨーン「正体不明の寂しさダヨーン」
五人は意味がわからず首をかしげる。一松は一人だけじっと見つめたまま。
ハタ坊の周りにはたくさん仲間がいるのに、それが信じきれず漠然と不安になる。兄弟といても孤立を選んでしまう一松には、共感しやすい部分なのだろう。

一方おそ松はハタ坊に積極的に話しかけて冗談を言う、とても優しいお兄ちゃん気質を発揮している。
しかしおそ松は、兄弟関係が壊れかけるととたんに心が不安定になる寂しがりや体質。
兄弟の感情の変化に、一番敏感なのも彼だ(十四松の彼女の話や、一松の本音の話など)。

Aパート、言葉がブーメランになって六つ子に返ってくるシーン。「口だけ」とか「タダ飯ぐらい」とかは、まあわかるとして。おそ松の発言が引っかかる。
「ちゃんと反省しないといつか一人になっちゃうぞ!」
おそ松にとって一番恐ろしいことは、一人になることなのだ。
「おそ松さん」2期6話。ひとりぼっちは寂しいもんな「ちゃんと反省しないといつか一人になっちゃうぞ!」
山竹伸二『「認められたい」の正体−承認不安の時代』承認欲求からからスクールカーストやDVを読み解く。

山竹伸二の『「認められたい」の正体−承認不安の時代』では、3つの承認が定義されている。

チビ太は、正体不明の寂しさをわからない六つ子(一松以外)に「六つ子のてめぇらにはわかんねぇかもな」と、核家族内の「親和的承認」の話を持ち出す。
ハタ坊が手にしたのは、「仲間」という広い枠の「集団的承認」
Aパートでイヤミが褒めてくれたような、親切や行動に対する感謝・受け入れが「一般的承認」

「親和的承認とは、人に「ありのままの自分」が受け入れられている、愛されている、という実感を与えるものなのだ」と山竹伸二は書く。
喧嘩をし、嫌悪しあいはするものの、親和的他者=兄弟がそばにいて、ありのままをさらけ出せる現状は、とても居心地がいい。

極端に家族・兄弟へのこだわりの強いおそ松。
今期も彼は外に目が向かないんだろうか。
2期1話で、おそ松が考える「ちゃんとしている」が、家庭を持っている姿だったのも、もしかしたら身近な他者を求める彼を表していたのかも。

次回は「おそ松とトド松」。
一松・チョロ松の話もあったし、2期は一対一の話が増えていきそう。
おそ松は弟たち大好きお兄ちゃん。トド松は兄たちと離れたい末っ子。
1期では、家族の別れにすねるおそ松をトド松が本気で殴り、大喧嘩している。
他者としての兄弟との距離感を、おそ松がはかれなくなったからだった。
すごく不安になる組み合わせ。楽しみです。

(たまごまご)


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