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犯罪コメディ「ローガン・ラッキー」に見るアメリカ田舎者白人の鬱屈と悲哀、深い

2017年11月18日 09時45分 ライター情報:しげる
『オーシャンズ11』の監督が撮ったクライムコメディでありながら、"ヒルビリー"たちの悲哀と苛立ちも感じさせる複雑な一作。『ローガン・ラッキー』は非常に現代的な犯罪映画である。

アメリカの田舎白人、ヒルビリーとは


ヒルビリーとは、もともとは「山に住んでいる白人」みたいな意味の単語だ。最初にそう呼ばれた人々はアメリカ東部にあるアパラチア山脈の南側に住み着いた人々。18世紀ごろにこの地に移民してきたスコッチ・アイリッシュの彼らはあんまり山の外と交流せず、狩猟をやったり密造酒を作ったりして生活し、地元でしか通じないアクセントで話すという、アメリカの中でも独自の文化を作った。

この人たちのイメージがポピュラー文化の中で再生産されるにつれ、当初の強烈なスコッチ・アイリッシュの意味合いは薄れる。現在ヒルビリーという単語のニュアンスは、フラットな意味合いだと「白人の田舎者」、悪くいうと「どん百姓」「カッペ」くらいの感じらしい。

一昔前にこの"ヒルビリー"という名前そのもので呼ばれていた音楽ジャンルがあった。それが今でいう「カントリー」である。日本でも知られている代表的な歌手と言えばジョン・デンバーやテイラー・スウィフト(デビュー当時はカントリー路線だったのである)あたりだろう。そして『ローガン・ラッキー』の冒頭で流れる曲が、いきなりジョン・デンバーなのである。これはまさに「これはヒルビリーの映画だよ!」という宣言に他ならない。

ついてない奴らが一致団結、NASCARの売り上げを強奪せよ!


炭鉱夫ながら足の怪我で仕事を失い、妻とは離婚協議中、愛する娘ともたまにしか会えないという冴えない男、ジミー・ローガン。そもそもローガン一家の不運は有名で、父の借金が返済できたと思ったら母親が病気で倒れ、高校ではアメフトのスター選手だったジミーは膝を故障してプロ入りを断念。弟クライドに至ってはイラク戦争で左腕を失って、今は片腕でバーテン稼業……と、命に関わるレベルの不運に見舞われ続けている。

こんなクソみたいなどん底生活を一発逆転するため、ジミーは大胆不敵な現金強奪計画を企てる。標的は全米最大のストックカーレース「コカ・コーラ600」が開催中のシャーロット・モーター・スピードウェイ。その地下に存在する、レース当日の売り上げ全てが集積される金庫から現金を盗み出すのだ。かつてこの金庫の工事に関わったことから計画を思いついたジミーは、弟クライドと運転が上手い妹のメリーを巻き込む。

ライター情報

しげる

ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

URL:Twitter:@gerusea

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