「嵐」の櫻井翔が主演のドラマ『先に生まれただけの僕』(毎週土曜 後10:00/日本テレビ系)、今日(2017年11月25日)午後10:00から第7話放送だ。

第6話、櫻井翔演じる鳴海校長はもちろん、加賀谷専務、柏木事務長の見せ場が多く、大人の男が活躍する回であった。

櫻井翔「先に生まれただけの僕」高嶋政伸の怪演が止まらない、ぶっといステーキにムハムハかぶりついた
イラスト/米光一成

【鳴海校長:櫻井翔】
オープンキャンパスが大好評。
先生の意識も、生徒たちの意識も変わってきた。
全校集会の校長訓話で、鳴海校長(櫻井翔)がキリっとした顔で壇上にあがるシーンからスタート。

真柴先生(蒼井優)は校長リスペクトから恋心が生まれてるっぽい。
でも、ギクシャクと不器用で、
「ただもんじゃ食べただけです」「もんじゃ?」「……」「なんでもないです」と、
恋心ゆえのわけのわからない会話をしてしまい失敗したーって泣き顔で立ち去る真柴先生。
「はぁ?」とわけわからない鳴海校長。

ラブコメ的なシーンで、盛り上がる。

鳴海校長、加賀谷専務がしかけた嫌がらせ的な質問にも、壇上から降りて同じ高さに立って誠実に対応することで乗り越える(同時に先生からの信頼も得た)。

学校説明会が終わって、保健室へ。
「あー」と口をあける櫻井くん。
体温計を取り出し、ぐったりする。
シャツのボタンは3つ目まで外していた。


【柏木事務長:風間杜夫】
クハハ、グフフと歩きながら笑っている(落語を聞きながら歩いているのである)柏木事務長。
すれ違う聡子(多部未華子)。
見覚えがあるなー、あれ? 誰だっけ、というシーンで、
柏木事務長は、笑っていた流れのままに小動物の鳴き声のような「ぐゥッ? ……ぐふぅ」と奇妙なリアクションをする。

風間杜夫演じる事務長は、さまざまな難題を乗り越えていく鳴海校長のそばにいてクスリと笑わせる役どころを好演。

このシーンでも、鳴海と聡子がつきあっていることに気づいたことを、こう語る。
「ふたりを見たときピンときました。
(ふたりのマネをして)「おつかれさま、オープンキャンパスすごくよかったよ」「おう、ありがとよ」 さりげないやりとりに艶があった。ぐふふふ」
落語好きのキャラを活かして、落語ふうな語りをするオヤジっぷりを発揮。
「ん? いま私のアンテナがビビビと。ジェラシックパーク!」と、ジェラシーをジェラシックパークと言う強引な駄洒落まで飛び出す。
いるいるこういうオヤジって感じが、ハードな物語に柔らかさを与える。

【加賀谷専務:高嶋政伸】
高嶋政伸の怪演は、今回も凄かった。

加賀谷専務は、社長に「鳴海を長崎支店へまわしたい」と提案するが、
「もう少し彼にまかせておこう」と社長は取り合わない。

社長との会話シーンでは、顔をピクリとも動かさず冷徹な姿勢。
その後、ぶっといステーキにムハムハかぶりつく姿で、ハラワタ煮えくり返る男を表現する。

車の後部座席で秘書と会話するシーンも、嫌な専務を見事に演じる。
「君は秘密を守る優秀な秘書だから」
と言って、万年筆を彼女の横に落とす。
拾った万年筆を差し出す秘書の手をねっとりと撫でながら、
「俺は自分をさらけだしてるんだぞぉぉぉぉ」
って、なんだそれは!
その後の奇行(指ダンス!)と、秘書の秘密を聞いたときの反応も、思わず笑ってしまう凄まじさだ。


だが、ひとつ心配していることがあった。
すさまじい専務だが、前回の作戦もあっという間に失敗。今回の社長への提案も、嫌がらせ質問も失敗。
毎回、やることが、わりと小粒で、すぐ失敗してしまうのだ。

そもそも、鳴海を校長に配属したのは加賀谷専務だから、鳴海校長の成功は加賀谷専務の手柄にもなる。
だから、加賀谷専務が鳴海校長を貶める理由がほとんどない。

個人的に気にくわないってだけで、加賀谷専務が敵として立ってないのである。
いかに高嶋政伸の怪演をもってしても、ドラマの構造としての対立軸が弱ければ盛り上がらない。

だったのだが、六話になって、ようやく加賀谷専務の対立フラグが立った。

個人説明会で「絶対この学校に入りたいと思いました」と語る女子学生。
演じるのは、『重要参考人探偵』で柘植すみれ役、『セトウツミ』の7話で車いすの少女を演じ、注目度があがっている山田杏奈。
母親役は、西田尚美。
母親が「でも、こないだまでは公立でいいって言ってたんです。ちょっと主人とも相談しないと」
と言うのに対して、娘は「パパなんてどうでもいいじゃん」と強気。
個人面談のシートが映って、彼女の名前が「加賀谷希」であることが判る。
そう、加賀谷専務の娘なのだ。
まだ何も知らない加賀谷専務は、ふぅぅぅぅぅぅぅっと気功の呼吸で精神統一しているのだった。

これで、明確な対立軸が生まれた。

次回は、この対立が激化するだろうし、予告編によると、学生が結婚すると言い出してテンヤワンヤになる回で、鳴海校長をめぐる三角関係も一悶着ありそうである。
いよいよ後半戦に向けて、ドラマが大きく動き出すのか。
第七話、楽しみだ。(米光一成)

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