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広瀬すず&坂元裕二「anone」2話「愛されてたって、愛してくれなかった人のことのほうが心に残る」

2018年1月24日 09時45分 ライター情報:大山くまお
広瀬すず主演、坂元裕二脚本の水曜ドラマ『anone』。第1話は寓話のような滑り出しだったが、第2話になって物語がゆっくりと、だが着実に動きはじめてきた。にぎやかさや華やかさからはかなり離れたところにある、しんと静かな雪の日の夜に観るのがぴったりのドラマだ。

表と裏、勝ちと負けの二元論にとらわれた人


「この世界には裏メニューってものがあるんです」
「世の中なんて、どこかのバカがついうっかり倒しちゃったドミノ倒しでできているんですよ。ちゃんとしていようがしてまいが、並んじゃったら負けなんです」

商社に勤めていたが、男性社会に阻害された挙句に左遷され、会社の倉庫に火を放って逮捕された青羽るり子(小林聡美)は、世の中を恨んでいる。ドミノ倒しのような表の世界から弾き飛ばされてしまったから、何もかもがうまくいく裏メニューを渇望しているのだ。また、表と裏、勝ちと負けの二元論は、「グレーのままでいい」と謳い上げた坂元の前作『カルテット』とは対極の場所にある。

フランチャイズチェーンに加盟したせいで、父の代から続く店と土地を丸ごと奪われるはめになった持本舵(阿部サダヲ)は、件のチェーンに入るよう勧めた“親友”の西海(川瀬陽太)の「シャケが熊を襲う」という荒唐無稽な話を素直に信じ込む。これは持本のお人好し加減だけでなく、西海との関係性を示している。

「目覚ましスヌーズする奴が、人生もスヌーズするんだよな」。ヒリついた凶暴性を剥き出しにする西海。演じている川瀬陽太はピンク映画を中心に活躍する俳優で、瀬々敬久映画の常連。どこか裏の匂いをまとっている。

青羽のリードで西海から逃れた持本。「ずっとこういう感じなんですよ。こういうもんだと思って生きてきたし」という言葉が哀しい。熊に食べられると決まっているシャケのようだ。林田亜乃音(田中裕子)が大金を隠し持っていると確信していた青羽は、それを一緒に奪うよう持本に持ちかける。

「社会からひどい目に遭わされた人は、死ぬ前にすることがあるでしょ。怒るんですよ。シャケだって時には熊を襲うんでしょ?」
イラスト/Morimori no moRi

枕とふとんのある生活は幸せなもの


「人様の秘めた哀しみを辛気臭いなんて片付ける奴は弁護士の資格ないよ」

静かな怒りをたたえて話すのは、亜乃音の雇い主である法律事務所所長の花房万平(火野正平)。刑事事件の依頼をすべて断り、いまだにフロッピーディスクを使い続ける彼もまた、社会のドミノからは外れている存在なのかもしれない。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

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