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必見「デトロイト」差別と不安の構造を撃ち抜く。極限状態で発生した地獄とそれを隠すために発生した地獄

2018年1月31日 09時45分 ライター情報:しげる
1967年、酒場へのガサ入れが原因で大規模な騒乱へと発展したデトロイト暴動。『デトロイト』はその最中で発生したとあるモーテルでの事件をフックに、差別とその原因である不安の姿を描いた。映画で扱われている事件自体はひとつだが、非常に射程の長い骨太な作品である。

工業都市デトロイトで起きた、50年前の巨大暴動


ミシガン州デトロイトは、伝統的な工業都市だ。もともと19世紀から馬車や自転車の製造が行われていたが、1903年にヘンリー・フォードが量産型自動車の工場を建設。T型フォードの大ヒット、さらにゼネラルモータースやクライスラーの誕生により、自動車工業を支える巨大都市に成長した。

街には自動車工場で働く労働者の黒人たちが住んでいる。この地に黒人が住み着いたのは、1910年代に発生したアメリカ南部から北部に向けての黒人たちの大移住が原因であり、第二次大戦後に加速した白人たちの郊外への移住がそれに拍車をかける。低所得な有色人種の労働者たちは都市の中の狭い住宅街に押し込まれ、治安の悪化は加速する。それを取り締まる警官たちと住人の間には軋轢が広がり、1960年代の公民権運動の加熱もあって、デトロイトの市街地は一触即発の状態にあった。

そんな中の1967年7月、デトロイト市西側である12番街の無免許酒場に、警察の捜査が入る。酒場はアメリカでは免許制で、当時は営業時間も午前2時までだったのだが、それを破って営業していた店に警官が踏み込んだのだ。店ではベトナムから復員してきた兵士を歓迎するパーティーが開かれており、警察の予想を上回る黒人客たちが詰め掛けていた。おまけに裏口の鍵が開かず、やむなく警察は目立つ表側から逮捕者を連れ出すことになる。この騒ぎに駆けつけた近所の黒人たちは警察の車両に向かって物を投げ、隣の店を襲撃する。これがデトロイト暴動の始まりだった。

暴動は翌日になっても収まることはなく、ついに放火までもが発生。事態の収拾を図るべく黒人の市議会議員が現地で演説を行うも空振りに終わる。州政府はデトロイト市警とミシガン州警、さらに州軍や国境警備隊までもを投入して市街に展開。デトロイト市内は市街戦さながらとなり、夜間外出は禁止に。広がる暴動の前に、都市全体が麻痺していく。

暴動の渦中で繰り広げられる、あるモーテルでの惨劇


『デトロイト』の主要な舞台となるのは、この暴動の渦中で営業していた「アルジェ・モーテル」という安モーテルだ。

ライター情報

しげる

ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

URL:Twitter:@gerusea

「必見「デトロイト」差別と不安の構造を撃ち抜く。極限状態で発生した地獄とそれを隠すために発生した地獄」のコメント一覧 3

  • 匿名さん 通報

    原住民を追い散らし、ではない。インディアンを虐殺して建国したのだ。血塗られたアメリカだよ。

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  • 匿名さん 通報

    問題を矮小化しすぎ。この記者が黒人に差別意識を持ってそう。

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  • 匿名さん 通報

    期待してたのに、つまらなさそう。

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