『花より男子』新シリーズ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS・火曜10:00〜)第6話。

江戸川音(杉咲花)から思いっきりフラれてしまった神楽木ハルト(平野紫耀)が、英徳学園の品格を守るために推し進めてきた「庶民狩り」と向き合う。

「花のち晴れ」庶民狩りをちょっと格好いいこととして描く時代錯誤…一途なメグリンは応援したい7話
イラストと文/北村ヂン

「庶民狩り」の気持ち悪さ


音にフラれ、「もうどーでもいいよ」的なモードに入ってしまったハルトは「庶民狩り」を再開する。

前作、『花より男子』でF4が行っていた「赤札」に相当するもの。

「赤札」の方は道明寺司(松本潤)率いるF4に逆らった、もしくは目を付けられた生徒の下駄箱に赤札が貼られ、そいつがリンチの対象になるという、わりと単純ないじめだったのに対し、「庶民狩り」は、授業料や寄付金を払うことができない貧乏人を学園から排除することによって、学園の品格を保とうという作戦。

どちらも、被差別者を設定することによって他の大多数の生徒たちの士気を高揚させているのだが、見ていて圧倒的にモヤモヤするのは「庶民狩り」の方なのはなぜだろうか。

「赤札」によって開始されるいじめも、卵をぶつけたりぶん殴ったりと、かなり直球のバイオレンスでなかなかのヒドイ内容だったものの、いじめている側の生徒から「悪いことだけどF4の権力が怖いから仕方なく……」という空気を多少なりとも感じられた。

一方、「庶民狩り」の方は、「みんなハルトが立ち上がるのを待っていたんだ」とか言われているように、多くの生徒たちの間で「学園をよくするためのいい事」と認識されており、みんな嬉々としてやっているように見えるのだ。

「金持ち vs 庶民」という図式を作りあげ、「こいつは庶民だから差別してオッケー!」という口実を与えられたことで暴走していく一般生徒たち……。
どうしても人種差別の問題とも重なって見えてしまう。

もちろん「赤札」も「庶民狩り」も、主人公目線からするとNGというスタンスで描かれているわけだが、『花より男子』の放送時からだいぶ世の中も変わっており、レイシズムやパワハラ問題がこれだけ大きく取り上げられているのに、相変わらず「チョイ悪なことを煽動しちゃう、やんちゃな男の子(ハルト)」くらいのスタンスで描かれていることに違和感を感じる。

最終的に、ハルトが憧れる道明寺司が、『花より男子』の主人公である牧野つくしと出会ったことで変わっていき「赤札」もやめたという話を聞いて、ハルトも「庶民狩り」をやめると宣言。

その時の一般生徒たちの反応が、大部分は歓迎しているように見えるものの、一部「こいつにはガッカリしたよ!」という反応だったのもリアル。

なにより、正しき5人・C5の反応が「この方法が100%正しいとはオレも思っていない」「(「庶民狩り」をやめると宣言したハルトに対して)多くの物を失ったな」なのだ。

……やっぱり、100%とまでは言わないまでも、結構いいことだとは思ってるんだね、この人たちは。


「フィクサーの息子」という顔をして学園を牛耳っていた悪い顔の上級生のウソを暴き、退学させたのが「庶民狩り」のスタート……という、原作にはなかったエピソードを入れてきたのは、「庶民狩りもね、場合によっては悪いことじゃないんですよ!」という、せめてものフォローのつもりだろうか。

メグリンの主人公感がハンパない


ハルトは陰湿な「庶民狩り」を推し進め、音はハルトと馳天馬(中川大志)の間で心が揺れ動き、天馬は相変わらずサワヤカ過ぎて気持ち悪い……という状況の中、マイペースにイメージアップしていたのがメグリンこと西留めぐみ(飯豊まりえ)だ。

ドラマ内のポジションとしては、主人公である音とハルトの恋が成就するのを邪魔する恋敵なんだけど、ハルトへの恋心がピュアネス&ド直球すぎて、どんどんいい娘に見えてきてしまう。

今週、ハルトの父親(滝藤賢一)が、メグリンとハルトを婚約させようとしていた。

メグリン的には渡りに船な提案なわけだが、その席でハルトのことを罵倒する父親に対して「ハルトくんの素晴らしさは数字なんかじゃ表せないのに!」「私はちゃんと自分の力でハルトくんの心を手に入れます!」と啖呵を切る。

誰よりもハルトのことをちゃんと評価し、ズルイ方法でハルトとくっつこうとは思わないフェアさ。

ハルトが行方不明になったら一番に心配し、落ち込んでいたら家に乗り込んでいく(若干サイコ感はあるが)一途さ……。
メグリン、アンタ主人公かよ!?

どうも煮え切らない態度で、感情がフラフラしている音よりも、メグリンの方が好感度がアップしている。

考えてみると、このドラマにおける四角関係で、ハルトと天馬は音のことを、メグリンはハルトのことを……と、愛情の表現の仕方はそれぞれ違うものの、一途に思っているわけだが、音だけは「天馬くんと一緒にいたい」とか言っているわりに、ハルトに思いを残している感じビンビンなのだ。

天馬だって、すごくいいヤツなのに……音、アンタはいい加減にせえ!

ハルトがメグリンと交際(仮)宣言!?


原作にはなかったオリジナル展開が増えている本ドラマ。

次週予告ではハルトが「西留の彼氏(仮)になった」と言っていた。原作では、とことん音に対して一途だったハルトだが、まさかの交際(仮)宣言。

ここまで望み薄に見える恋愛だったら変節しちゃうのも分からなくもないが……。


この展開から「結局、何だかんだあって、音とハルトがくっつきました〜」という流れになるとしたら、もはや音が恋路を邪魔する恋敵にしか見えなくなってしまいそうだ。

メグリンがかわいそうだよ!
(イラストと文/北村ヂン)